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エッセイSP(スペシャル)

輝き・・

たかやま じゅん

2013年2月18日

 三度目の転勤で帯広を離れるとき、ひとり一人と別れを告げるには時間が足りないことから友人が音頭を取り、送別の宴を張ってくれた。それは仕事以外で知り合った人たちが一堂に会すると言う思い出深いものとなった。
 歳月は流れても年賀状での交流が続いていた。年明け、件の送別会に参加した人から電話が鳴った。彼と二十五年ぶりの邂逅はこころを揺り動かすものがあった。
 帯広の前は東京の下町を管轄する支店に配属されていた。昭和五十年代・・日本が元気で得意先も繁盛し、会社にも活気があり自分も二十代後半でエネルギーに溢れ、すべてにおいて輝いていた。
 このときの仲間たちが、毎年二月末に集まっていることは賀状で知っていた。当時の上司から「いつも君のことを話している」とか「一度出てこないか・・」と先輩や同僚の言葉を読むにつけ「まだ雪の中だよ~」と行かず仕舞いになっていた。
 その中の一人からのハガキで切手が当り、お礼の電話をすると話題が今までの集まりに触れ、懐かしい名前が次々と伝えられて、当時の顔ぶれが甦り始めていた。聴くところによると今年で七回目になるそうで、体調を崩して参加出来なくなった人の話には考え深いものがあった。
 いつしか「今年こそ・・」の想いが湧いてきた。「行くなら元気なうちだね」の一言で意を決し「先ずは便が取れるかどうか・・?」と電話を終えた。
 「また会いたい」「一緒に呑もう・・」と毎年書いてくれる人も少なくなく、行くとなると参加者を知りたい。名前の挙がってこない人があり、賀状をめくり無意識のうち受話器に手が伸びていた。
 幸いにも二泊三日の東京フリーパックを予約、札幌市内にいる後輩にも声を掛けると「まっチャンが行くなら同じパックで頼みたい」とのことから同行が決まった。誰かが伝えたようで元上司から「今年はまっチャンが来るのが愉しみだ!」と嬉しい声も届き、弥が上にもその日に思いを馳せる。
 今でこそ平次親分だが、あの頃は苗字の最初の一文字から「まっチャン」と呼ばれていたので懐かしさはひとしお。出来るだけ多くの人と再会したいと思い電話した数も両手に及び、三十数年前に戻って「課長、ご無沙汰して・・」と思わず昔の役職名が口に出てしまった。
 それぞれに転勤転居があって、ときには喪中を挟むなどして行き違い、いつしか音信が途絶えてしまった人もあり、この集いで逢えることが愉しみとなった。ともあれ当日の天候が晴れて、飛べることを願いたい。

◎プロフィール

〈このごろ〉咳と鼻水が治まるまでひと月余り。おまけに舌がピリピリ・・食べることもままならなくなっていたのに、体重は減っていなかった。

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