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エッセイSP(スペシャル)

本 性

冴木 あさみ

2017年8月 7日

 男性秘書への罵声と暴力で一躍有名になった議員。失言と理解できない曖昧答弁で資質を問われ辞任した大臣。不適切な関係を疑われ謝罪をした元アイドル議員。夫をユーチューブで誹謗中傷し続けている女優。もっともこの人が女優としてテレビに出演している姿を見たことはない。国有地の不可解な大幅値引きで問題になった元学園理事長の個性的過ぎる妻の露出以来、特異な女性が何故か数珠つなぎにメディアに登場し世間を騒がしている。
 その前は長靴政務官と復興相が失言と失態で辞任。「失言」とは、思ってもいないことをつい口に出してしまうこと。彼らのあの発言は「失言ではなく本音でしょう?」と、繰り返し放映される画面を見るたび憤る。本当にろくな人間じゃない。やっぱり女性をもっと起用しないとダメだと思っていたが、見苦しさに女性も男性も関係ないようだ。着飾ってお上品な振る舞いをしていた奥様方がなんという変わりよう。本性ここに見たり「出たな妖怪!?」的な変貌だ。
 人間、本音と建て前を自分の中でコントロールしながら社会生活を送っている。理性的に謙虚に自己管理ができる人ほど世の中うまく渡っていける。知名度のある人、公人は特にその一挙手一投足を国民にチェックされていることを十分自覚すべきだろう。政治家に限っては本性を押し殺してでも国民の利益のために身を粉にして働くべきで、実際そう宣言して頭を下げて選挙を戦ったはずであるのに、この体たらくぶりは許せない。
 政治経験のないタレントを客引きの目玉として議員に持ち上げることに全く価値がないとは思っていない。若いタレントの端くれだって、将来政治の世界で大輪の花を咲かせる逸材がいるかもしれない。若い世代が本気で日本の未来を考えるきっかけを作ってくれるだけでも価値はある。
 議員の待遇・特権を一度手にすれば誰も手放したくはないという。叩かれてもなじられても「生き恥をかいても職務を全うしたい」とカメラに向かって四十男が恥さらしな涙を見せてまで、その地位は譲れないほど厚遇なのだ。「あなたでなければできない職務とは何ですか?」と、何故誰も聞かない!? 会見時のインタビュアーのつまらない質問の数々に呑気な日本人の本性を感じる。誰がなってもこの国はたいして変わらないと諦め、彼らの特権のため血税を貢ぐだけの情けない国民になり下がっている私たちにも責任はある。
 今年も先祖の精霊をお迎えする時期がやってきた。これまでまさに命を賭してこの国を作ってきた勇者たちが、現状を見たらさぞ嘆くことだろう。

◎プロフィール

さえき あさみ
この夏、フルーツゼリーにはまってしまう。種類も豊富で見た目よりもぐんと美味しい。ビールより冷えたゼリー!

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