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エッセイSP(スペシャル)

懐かしい友人に会う

梅津 邦博

2019年4月 8日

 東京には若かりし頃に短かったが住んでいたことがあり、今でも年に1、2回は上京している。ある日、ふとしたことで東京時代に働いていた紳士服製造会社の同僚の一人であるナイトウ氏と連絡が通じて懐かしさが込み上げ、会うことになった。彼は携帯で、
 「ウメヅさん楽しみにしています。待ってるよ」
 「いやこちらこそ。44年ぶりだなぁ…」
 懐かしさで昔の仲間に会うとはどういうことなのだろうか。懐かしさを感じるとは自分がそれなりに人生を生きてきたということで、つまり相手もその後の消息はどうしていたのだろうかと思う。お互いに同じ時間の人生という歴史がある。人が人と会うということは生命力活性であり生産性を認識することにもなるのではないか。誰しも学校を卒業して社会人となった数年間の時代とは青春真っ盛りの時代であり、賑やかで不器用でわがままなところもあるが、その当時に出会った仲間たちとはいろんな出来事があるのだ。
 花は散って、また芽吹いて幹が伸び、また再び花が咲いてゆく。それは繰り返しつづけているのだった。人もまた幾度となく生き死にを繰り返しているわけで、特別な縁やあるいは深い付き合いがあるとしたらそれは過去世からの因縁による。人生は一度きりではないのだ。魂は永遠なのだ。
 そういったようなことから人生の時間というものが時を動かして人と再会することがある。そうして相手の人生を知り、翻って自らの存在を知ることになるのだ。自分のありようを鑑み、人を人生を社会を知るということは、嬉しさもたまらなさも哀しさもあることだった。
 ナイトウ氏はぼくより一つ年下だが、当時働いていた会社では先輩であった。福井県出身の彼は長身で日本人離れしたどこか西欧風の素朴な顔立ちである。いつも明るく楽しくて、時として鋭いことを指摘してくる場合もあった。頭がキレる男なのだということを覚えている。今となっては当時どんなことを話ししたのかは覚えていないが。やさしくそして強烈な印象がある男だった。幼児の頃に病気をされて足が少し不自由になり、学校ではいじめられていたともいう。
 ぼくは数年で退職して十勝に帰ってきたが、彼は後年会社の縮小整理により他工場に移動し、管理職を務めていたが後に会社が解散閉鎖したことで失職した。その後、茨城県で同業種の会社で仕事をしている。驚いたことに彼は、趣味で蕎麦打ちの他に養蜂をやっているという。ハチミツはどんな味がするのかな。
 4月に上京し、足立区北千住で落ち合う。つもる話がたくさんある。さぁ、春の宴がはじまる。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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