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エッセイSP(スペシャル)

チームナックスの役者たち

梅津 邦博

2019年10月14日

 北海道には北海道の風土と文化があり、それに沿って歴史が創られていっただろう。そしてまた歴史の始まりとは衝撃や肌理の粗さなどがあるのではないか。
 北海道におけるテレビ放送局はいくつかあって、過去には報道や地域の特集などとは別に深夜においてバラエティ企画ものがあったが、出演者は局自前のアナウンサーが面白おかしいことをやっていて、見ている側としては時にはどこか痛々しい思いも感じていた。
 不器用でどうしょうもない人生を送っていたぼくは、毎晩のように夜の街をほっつき歩いては飲んでばかりいた。生業がなかなかうまくいかなくてフラフラし、ロクな努力などしていなかったのだ。そうしているうちにいつの頃からだったか覚えてはいないが、北海道テレビ放送の深夜番組で『水曜どうでしょう』というのがあった。若い男たちが道内を本州をと各地をドライブしながら、ああでもないこうでもないと言いながらそれはやるせなく頽廃的でもあるバカバカしい内容だが、オレたちはおおらかな北海道の人間だし気楽に楽しくやっていくべやというありようがある。以来毎週蒲団にくるまりながら観ていたのだった。解放感と同時にどこか寂しさも覚えてならないのに、それは以外にも面白いのだ。救いようがないなと思いつつ、しかしその番組が持つ価値観に通奏低音が湧いてきていた。出演は演劇人の鈴井貴之氏、そして当時大学生だった大泉洋氏等で、そうか、北海道はようやく自前の新しいタレントたちが誕生してきたのだなと思った。
 そうして後に鈴井氏が所属するオフィスキューにチームナックスが誕生して、メンバーには大泉氏の他に森崎博之氏、戸次重幸氏、安田顕氏、音尾琢磨氏がいる。彼等は北海道から中央へ向かっているのではなく、北海道にいて中央の世界を引っ張っているのではないかという感じがし、その上で北海道世界を色付けしたり構築したりしているような気がしてならない。まさに北海道の輝くニュージェネレーションではないか。話題にもなっていたNHK連続テレビ小説第100回記念『なつぞら』は十勝が舞台で、それに出演されている安田氏、森崎氏、戸次氏、音尾氏、大泉氏のそれぞれの役者振りには惹きつけられて見応えがあった。特に安田顕氏の北海道人的な不器用さやアクのある気難しさなどが全身から滲み出ているところが感じられてとても魅力的でさえあると思っている。彼等が北国の水と土の匂いの中で活躍しているおかげで北海道がますます光彩を放っているように見えて、チームナックス今後の活躍を期待して止まないのだった。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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