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エッセイSP(スペシャル)

あおぞら・・

たかやまじゅん

2021年2月15日

 晴れ間を見計らい家の前を除雪するのが日課となった。年末から比較的軽い雪で足腰への負担も少ない。だが、これから水を含んだ重たい雪に変わる。
 朝方に目が覚めると先ず窓のカーテーンを開ける。そこは一面の白さで覆われているのだが、ニュースで岩見沢以北の大雪、北陸方面の豪雪映像を観るにつけ、札幌でもこの辺りはまだいいのかも知れないと自分に言い聞かす。
 そして建ち並ぶ高層ビルの壁に朝日が射し込んだ瞬間、よし今日もやるぞ‼と気持ちを引き締めるのだった。こうして外に出ると、隣の庭にあるナナカマドの枝には雪が被り、赤い実を覗かせている。晴れた日はこの実をついばむ野鳥のさえずりを耳にしながら、雪の白さに鮮やかな赤、抜けるような青空を見上げると、気持ちが晴れ晴れとして気合が入る。
 この樹は春に芽吹き夏は葉が生い茂り、秋になると黄色や赤に色付く。お陰で四季を身近に感じられ、その折々をスマホで撮り、Facebookに載せる。やはり背景が青いと被写体が映えて「いいね」も多くなった。
 青空を見ていると、子供の頃にラジオから聞こえてきた「晴れた空~そよぐ風」が浮かび、テレビのCMで流れた「ケロリン~ケロリン~青空晴れた空」や「日立の~青空」を口ずさんでしまう。
 青は古来より蒼や碧とも表される。一般的な青は空や水をイメージ、蒼は草木の生い茂る様、碧は勾玉などの緑がかった石英の色だそうで、それぞれ微妙に意味合いが違い、小説や映画、音楽の題名に使われることも少なくなく、日本語の奥深さに感心する。
 帯広に居た頃、よく耳にした言葉が十勝晴れであり、秋から冬にかけて晴天が続くことだと地元の人に教えられた。防風林の向こうの真っ青な空に夕陽が沈む光景は、これまで目にした中でひときわ心に焼き付き、今も思い出す。ところで、十勝晴れと銘がつく清酒があると聞いた。きっとその味わいは、あの空を思わせるに違いない。だが、これは限定販売だそうな・・。
 人は天候がどんなに荒れようとも、やがて晴れることを識っている。そこに拡がる空の青さと深さは何ものにも変え難く、季節ごとに移ろう太陽や月、星に生きる力を見出してきた。これは古代の人から伝わるDNAであり、春を告げる〝あおぞら〟は、もう直ぐそこまで来ている。

◎プロフィール

〈このごろ〉空港での搭乗アナウンス、駅の乗車メロディを聞かなくなり1年過ぎてしまった。内地に行ける日は半年先か、それとも・・

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