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エッセイSP(スペシャル)

ホテル ヌプカ

梅津 邦博

2025年1月20日

 そこは「みのや」という旅館だったが廃業されていた。そこに女流経営者で東京都内にて古民家などを再生するべく活躍されていたサカグチコトミ女史が、帯広に帰郷されたことで新しく「ホテル ヌプカ」としてスタートさせていった。新規オープン以来、観光客やビジネス客などが多く、そしてまた奥にはスタンドバーもあって5、6人も入れば満席となる。 
 ぼくはカウンターにてビールを頂き、なんということもなくときおりロビー方向へ視線が向いているうちに突如として、あっ...そうだったのかと気付いたことがある。その空間は、なんだか人の行動や夢などの可能性が潜んでいると思えるような雰囲気が感じられてとてもいいではないか。知が動いて何かが人と人に繋がって想いの世界が広がり、やがてそういうことが少しずつ現象化していくように見え、そうして世界が創られてきているのではないだろうかという気がしたのだった。 
 何よりも企画性があって、例えば「馬車バー」なるものがある。元、輓馬だったムサシコマに馬橇ならぬ列車車両に見えるような箱型の遊覧車を繋ぐ。そして乗車されるお客さんからはビールやツマミなどの注文がなされて運ばれ、やがて馭者によってポック、ポックとゆっくり歩き出す。それはどこか郷愁さえも感じられるような面白いスタイルで、街中を50分ほどだかの時間で廻りながら楽しませるというそれは多くの観光客等から好評を博しているようだ。帯広における夜の観光としての新しいシチュエーションは、バージョンアップされて賑わい創造へと広がっているのだろう。
 自分は鉄南地区の小学校時代、近くで馬を飼っている農家のおじさんが、何かの用事で荷台を曳かせながらどこかへ向かっているのを何度か見掛けたという記意があった。 
 優しそうな微笑みの女史は凛とした雰囲気があるが、同時に人を観ていて力のある方だなと思う。そして今後どのような軌跡を描いて行かれるのだろうかと期待感に満ちてしまうのだ。注目されている異才女史から目が離せなくなってきた。新しい世界が描かれてゆく気がしている。 どんな世界を見せてくれるのだろうかという愉しみが広がってゆくのではないか。 
 先日ある日の昼、頭上は真っ青な空が広がっていた。近くで車の運転中に信号待ちをしていると、彼女が横断歩道を渡っている。背筋を伸ばして凛として駅の方向へと歩いて行く。夢があふれているように見えてならないのだった。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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