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エッセイSP(スペシャル)

理科系の作文技術

吉田 政勝

2025年2月 3日

 ちょっと難しい題になったが、作文は文科系なのにと疑問の方は特に読みすすめてほしい。今でこそ私は時々新聞の「投稿欄」に採用されるが、過去には未熟な作文時代があった。
 そう私は作文が苦手だった。だが、中学の卒業文集「あゆみ」で新聞配達の苦労をつづって、全文が載ったことがある。担任のM先生は「作文よかったぞ」と褒めてくれた。作文技術の優劣よりも、自分の体験の内容が評価されたと思った。
 ことばが乏しく口ベタな私は女性と会話するのが苦手で、男に嫌味を言われてもすぐに言い返せなかった。本を読んで語彙を増やそうと思った。五木寛之のエッセーや太宰治、川端康成の短編を読み、フロイトの精神分析や哲学書も読み始めた。はたち前だった。
 私は帯広の広告代理店に勤めていた。ある日、仕事の帰りに書店に寄ると「論理哲学論考」ウィトゲンシュタイン著という本があった。冒頭に「世界は事実の総体であって、物の総体ではない」と書かれてある。短い警句文が並び「語ることができないものごとについては、ひとは沈黙しなくてはならない」。その末尾の謎めいたアフォリズムも胸に響いた。
 難解なその本を購入し、夢中で読んだ。命題の真と偽を問う例文。「あなたは、ひとが誰かに何かを伝達できるということを、あまりにも自明なことと見なしすぎている」と哲人は問う。宗教や思想など絶対的基準に対する深い不信からの哲学探究だった。文を書くようになった私の思考の背骨となった。
 三十代半ばから同人誌「ランプ」で小説を書きはじめた。やがてNHK通信教育で「実践文章」を受講し、「藤原ていエッセー教室」にも学んだ。課題文の添削が戻ると赤文字だらけで、恥ずかしい修行時代だった。
 また、木下是雄著「理科系の作文技術」もとても参考になった。読者は誰で、何について書くか。「事実と意見」を書き分ける。主題を決め、序論・本論・結論と筋の通った形にする。修辞法ではない「論理的に文章化」する理科系の技術を学べた。文章能力を仕事や生活の中で発揮して、読書習慣を身につけ、わたしは人生をステップアップしてきたと自負している。

◎プロフィール

●心況(よしだまさかつ)
 この30年間に、新聞やタウン誌取材記事(投稿・コラム)約1000本、本誌は約300本。著書は4冊。継続に感謝!

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