
ムダ・・
2023年4月17日
日常、身近に使うものは限られている。例えば机にあるペン立てには何本ものボールペン、読み終わった本は部屋の片隅で山積み、そして廊下の棚にCDをびっしりと詰め込んだ。これらは何も言わない〝無用の長物〟に違いないのだが、それは私にとって見慣れた
身に付けること
2023年4月10日
作家のT氏にお会いしたとき、彼は歩きながら自意識過剰な声で言った。「親からもらったこの立派な身体に、安物の服なんか着せたくないな」 ぼくの耳に入ったそれはまさに正鵠を得た言葉であることに驚いてしまい、深く感じ入った。 科学の世界では人のこ

夢の行方
2023年4月 3日
レオナルド・ディカプリオと渡辺謙が出演する『インセプション』という映画がある。無意識下、つまり夢の中を舞台としたSFで、他人の夢に入り込み任務を遂行するという奇想天外なストーリーだ。しかもその夢は三層の深さに分かれているという、複雑でスリ

書を学ぶ
2023年3月27日
昨年の春に町の公民館で、玄関の掲示板を何げなく見た。「めむろ書道アカデミー」講座の受講生を募っていた。(書道を習ってみたい......) 講師が著名な書家の八重柏冬雷先生(毎日書道展審査会員)。書道教室でいつか学びたい、それが長年の私の願

デパート・・
2023年3月20日
帯広で永らく親しまれてきた百貨店の藤丸が閉館したニュースは記憶に新しい。同じころ東京の渋谷でも東急本店が幕を閉じた。帯広に住んでいた頃、休日に家族で買い物や食事を楽しみ、渋谷はかつて仕事で担当したので思い出も深く一抹の寂しさを覚える。 私
執筆することの戦い
2023年3月13日
生きていることによってさまざまなことがあるわけで、物書きとしてその何事かについての事を書くのだが、文才がないから上手くいかないことがあって大変なのだ。普通にちゃんと書けばいいようだが、そういうわけにはいかない。 人と話をするとか思い付いた

一円の祈り
2023年3月 6日
旅先で神社仏閣を訪れるのが好きだ。名刹に限らず、御朱印目的でもなく、知識があるわけでもない。街歩きの途中偶然古寺や神社に出会う時「私は導かれここに辿り着いた気がする」などとファンタジックな運命を抱く。その出会いに感謝し、丁寧に参拝する。

倫社の授業で
2023年2月27日
手紙やはがき類の処分をしていると、高校の先生方の年賀状が出てきた。その中から、社会科担当の女性中林教諭のはがきを手にした。「冬休みに友人と2人でイタリア旅行をし、古代からルネサンス期にかけての文化遺産を見てきました」と旅行から戻ってからの

潮騒・・
2023年2月20日
日本は島国であり四方を海に囲まれ、人びとは波に乗り移動を繰り返しながら大地に根を生やし、文化や歴史を築いてきた。 私の生家は、潮風が吹き抜ける小田原の海岸沿いにあり裏手は一軒置いて堤防、その向こうは砂浜が拡がり、相模灘から打ち寄せる潮騒を
極寒の日々にて
2023年2月13日
自分はそれなりに人口密集している16万人近い帯広に住んでいる。極寒の冬は重苦しさもあり、反対に夏は短いけれどかなりの暑さでもある。北海道にあって十勝は特別の地なのだ。夏の田園ロケーションは、小麦や大豆や小豆あるいはジャガイモなどの花が鈴な