一体どうなってるの?
2022年2月 7日
昨年の大みそかは長崎にいた。師走の仕事は予想以上の忙しさで旅支度もできず、出発当日にトランクに洋服を放り込み空港へ向かった。初めての地、土地勘もなく、下準備もなし。旅行雑誌を買ったものの目も通さないまま現地に着いた。こういう時は半日市内観
雪おんな・・
2022年1月31日
雪のない温暖な土地で育った私は、子どもの頃から雪だるまを作るのに憧れ、ニュースで雪の便りを見るにつけ、行ってみたいと思っていた。それが今では、雪の朝に家の前で雪かきをする生活となり十数年経つ。日によって雪の降り方、時間で違う雪質なども分か
不思議な世界
2022年1月24日
知人の歌手からジャズステージを行ないますと連絡があり、後日の夕刻、紹介された街中の店「L」へ向かった。 ドアを開けるとそこはどこの店にもあるような店内とは趣が違っていた。それぞれ離れている小さな三つのテーブル席は形も大きさも違う。また一角
恥のかきすて
2022年1月17日
焼き物に詳しい人や食器好きの人はご存知かと思う。波佐見焼。HASAMIという表示に「ああ、あれ?」と気付く人もいるかもしれない。私は全然知らなかった。 十分な感染防止対策をとって、この年末年始は長崎で過ごした。観光客はまばらで、雪のない歩
来し方・・
2021年12月20日
久々に東京の知人から、出張で来札するとの報せを受けた。その日は予定の時間より早めに出掛け、地下鉄すすきの駅から地上に出て、信号待ちの人込みから交差点角のビルにある行き付けの店に目を向けると、窓の灯りが見当たらず一抹の寂しさを覚える。 風の
コルバの「櫻あんパン」
2021年12月13日
アンパンが好きだという人は多いらしいが、おいしいと思えるほどのものはどれほどあるのだろうか。そこでおいしいアンパンとはどういうものなのかについて自分なりに考えてみたい。 いってみればアンをこってりとして甘くべタベタしているのもあるのだが、
つじつま
2021年12月 6日
書いた文章が活字に組まれた時点で校正作業が行われる。誤字脱字はもちろん、言い回しや前後の整合性など、あらゆるチェックが行われる。私が書いているこのページはわずか千字程度のものなのに、一発で通ることは少ない。特に何度も削除、訂正、段落の置き
変わる場所
2021年11月29日
時々、ふと思うときがある。引っ越しを何度かくり返し、転職も履歴書からはみだすほど多かった。 それらの場所について、わが人生のある時期を感傷的に思いだした。最初に勤めたのが帯広の印刷会社だった。今でもその場所を車で横切ると、昔の会社の外観や
セレーノな男
2021年11月22日
イタリア語でSERENOという表現がある。作家の塩野七生さんがエッセイでこの言葉の表現について「静かに晴れた、澄みきった、のどかな、晴朗な」と説明している。 このセレーノという表現はなかなか深く魅力的だ。晴れ晴れした顔、セレーノな空、とも
変身・・
2021年11月15日
子どもの頃、テレビがあるのは町内でも商いをしている家であり、日暮れになると腕白どもが迷惑を顧みず、そこの居間に集まってくる。隣と肩が触れるのも気にせず、『これから始まる物語』を待ち焦がれていた。 画面の中から流れてくるメロディを耳にした途