はるかなる萩野(前編)
2013年6月 3日
亡き父の郷里である山形県白鷹町の山村へ、母と二人で、寝台列車と東北新幹線とさらに高速バスに乗り換えて行ってきた。御先祖のお参りと親族への挨拶をしたかった。長いこと訪れていなかったが、帯広に住むぼくにとっては父からつながる根のふるさとで
ことわざ
2013年5月27日
「ユダヤ人のことわざ」という本を読んでいると、なるほど、と感心する。「無知が支配するところでは自分に英知があっても何の役にも立たない」という。また、「真実を語ると殴られる。ユダヤ人が正し
なぜ・・
2013年5月20日
福岡空港を後にツアーバスは、古の国際都市であった筑紫の地を走る。最初の見学地は天神さまと親しまれる菅原道真公を祀る太宰府天満宮。全国に数多ある天満宮の総本宮で、道真公の墓所の上に社殿が造
ふたたび歩き出す
2013年5月13日
十五年ほど前のことだった。「プラスワン」にいろんなつたない話を書いていたが、いつしか書くことが大変になってきた。もうこれ以上やっても無理だし迷惑をかけるだけだからと思っているうちに、何を
人生相談
2013年5月 7日
明治の新聞に掲載された人生相談を読んでいて笑ってしまった。おかしいものの、やはり当人には深刻だとわかる。 Aさんの相談。 父に死なれ、学費に困り大蔵省印刷局の女工に入りました。ところが男女の関係、局内の風紀の乱れたことは驚くこ
怒る人
2013年4月22日
眠れない夜はラジオを聴くことが多い。暗闇で目を閉じているとつい耳をそばだてる話題もある。最近、ラジオで聴いたこんな話に感心した。 中華料理の店にある男が入ってきて、ラーメンを注文した。ややすると運ばれてきたラーメンを口にした客は、
仰ぐ・・
2013年4月15日
桜前線が春の訪れを告げた。「花は桜木、人は武士」と一休禅師の言葉にあるように桜は侍の潔さに喩えられ、山河に彩りを添える。ふるさとの小田原城も桜の真っ盛りだろうと想いを馳せながら富士山を眼下に西を目指す。 福岡空港に降り立ち、九州を
久し振りのカツ丼
2013年4月 8日
早春の突き抜けるような青空の昼、「カツ丼」が食べたくなって出かけた。 カツ丼。なんという力強さと旨さが漲る響きであることか。夢と希望の世界が感じられ、どんぶり物のなかでなんと言われようと「天下のカツ丼」なのである。食べに行くときは
アンタ...だ
2013年4月 1日
午前五時前。アチッ…と眼が覚め、ア、やってしまったな、と思った。湯タンポの上に片足を乗せたままになっていたようで、蒲団のなかで膝を引き上げてちょっと手で触れてみたら、濡れたものがあった。水脹れになっていたのが破れたらしい
四十三年前
2013年3月25日
まちの図書館で本を借りようとして玄関にはいると左側にお知らせのパンフレットが並んでいた。その棚に「高橋揆一郎の文学」という文字が見えた。手にとると、北海道立文学館での展示会のチラシだった。 作家・高橋揆一郎氏は、2007年に亡くな