八雲立つ・・
2012年4月16日
歴史が好きで最初に読んだ物語が日本神話。出雲の旅は神話の世界を身近に感じさせてくれた。このツアーで八雲町から参加されたご夫婦に知己を得た。八雲と謂えば、須佐之男命が八岐大蛇退治の後、居を構えた出雲を詠んだ日本最古の和歌が浮かぶ。
歩いてゆく
2012年4月 9日
ことのほか寒い冬もいつのまにか去ってしまい、早春を迎えていた。三月半ばから日中は少し陽も強くなってきて春を感じさせるが、しかし昼をまわると空はいくぶん灰色になり、気温も下がって厳しい寒さになる。春はまだ先だった。 春分の日を過ぎた
通信教育
2012年3月26日
今春の選抜高校野球大会の出場校に、長野県佐久市の通信制高校「地球環境」が初めて選ばれた。常連高校と異なり、通信制高校は練習のための環境や時間に恵まれないだろうと想像した。私も通信教育で学んできたので「地球環境」高校の試合ぶりに興味がわ
美ら国エレジー・・
2012年3月19日
小学生の頃に切手ブームがあった。ストックブックに収めた色とりどりの図柄の中で、大蔵省印刷局製造、3¢、守禮門復元記念と書かれた「琉球切手」に外国を感じた。 日本の海賊に滅ぼされた琉球王の遺児たちが、室町末期の山城の国を舞台に王城再
寂寥たる日々
2012年3月12日
十勝の幻想的ともいえる雲もない空は静かにゆったりとして遙かなる彼方へと広がっている。しかしその水色の大空は、下界に対して何かの秘め事を孕んでいるふうにも見えてならない。天空というものは悠遠の昔からそういうものなのかも知れない。 天
思わぬ展開
2012年2月27日
2月中旬に、釣り仲間である大阪に住むM先生から突然電話があった。「十勝に来てますから、温泉に入って食事しましよう。月曜に帰ります」と言われた。 土曜日に、SさんとYさんに帯広で4時半に会うことになっていた。帯広へ2回往復するより1
香のもの・・
2012年2月20日
好物の一つに漬物がある。舌の記憶は大根、人参、蕪・・夏は胡瓜や茄子に西瓜の皮など関東の糠漬けがオフクロの味。 北海道は晩秋になると鰊漬けや鮭のはさみ漬けなどを仕込む家庭も少なくない。久々に寄ったスナックで大ママ手作りの漬物を出され
家の世界
2012年2月13日
人は自分の家はおろか住む部屋さえないということになれば、いったいどう寝食をしてゆくのか。都会では、段ボール紙や毛布などで橋の下とかビルや商店街の一角で寝る人を多く見かけるが、あんなふうになるのかも知れない。もしかしてそういうことは慣れ
下天のはざま・・
2012年1月30日
琵琶湖巡りの前日、大阪城は大手口の左手にある千貫櫓を訪れていた。本能寺の変から三日後、織田信長の甥で、明智光秀の婿にあたる織田信澄は、信長の三男・信孝から光秀に加担していると疑われて攻められ、この櫓で討ち死にする。享年二十七歳の若さで
生きてゆく
2012年1月23日
ふりむくとテレビで年末特集報道スペシャルをやっていた。東日本大震災で沿岸の街が巨大な津波に吞まれてさらわれているシーンが映っており、次に家族も家も失って海の遠くを見遣りながら痛哭している何人かの姿が映し出されていた。あまりのむごさに耐