
3、三、尽くし・・
2022年8月22日
この夏は祇園祭の山鉾巡行、小樽の潮まつりなどが3年ぶりの復活と謳われた。この3年の歳月は、長いようだが過ぎてみれば短く思えてくる。 かつて「3分待つのだぞ」のCMが流行ったレトルトカレーやカップメンは、お湯を注ぎ仕上がるまでの3分をとても

ふろく・・
2022年7月18日
雑誌の「和樂」や「サライ」に、日本画の伊藤若冲や葛飾北斎の絵柄があるバッグやポーチが付いていると、思わず買ってしまう。この雑誌や本の付録に惹かれる気持ちは、昔も今も変わっていない。 子どもの頃に愛読していた「少年」や「少年画報」などの漫画

赤チン・・
2022年6月20日
その昔、男の子たちは路地裏や空き地に集まりメンコやビー玉、そしてチャンバラや西部劇の〝ごっこ〟遊びに興じていた。夏は半ズボンにランニングシャツ姿で、膝や腕のあちこちに生傷が絶えず、家に帰って水で洗うと母親が赤チンを塗ってくれた。これを仲間

ご縁・・
2022年5月23日
子どもの頃、家の周りは町工場が多く、そこかしこに折れた釘や鉄くずが落ちていて、紐で繋げた磁石を引きながらジャリ道を歩くと面白いほど集まってくる。これを廃品回収に持って行くとその日の小遣いくらいになった。 磁石はプラスとマイナスの二つの極が

はげむ・・
2022年4月18日
この冬はことのほか雪が多く、玄関前の雪山は日を追うごとに高くなった。それでも3月後半には、陽射しが暖かさを運んで来ると雪融けが始まる。やがて周りの視界が広がると気持ちも明るくなり、早朝からせっせと雪かきに励んだことすら忘れてしまう。 こう

mask・・
2022年3月22日
子どもの頃に観ていたテレビのヒーローは、普段は身近にいるオジさんやお兄さんだが、ひとたび事件が起きると布で顔を隠しマントを翻して正義の味方として活躍する。 これを真似したのが、当時の〝ヒーローごっこ〟であり、風呂敷を肩にかけ手ぬぐいでマス

薬味・・
2022年2月21日
蕎麦を手繰る際に欠かせないのがワサビとトウガラシで、素材を引き立てる脇役だが適度に刺激を与えてくれる。中でも東京〝やげん堀〟の七味唐辛子は、デパートの江戸老舗展が開催するのが待ち遠しかった。それは必ず薬味の調合師が来ているので、「山椒を効

雪おんな・・
2022年1月31日
雪のない温暖な土地で育った私は、子どもの頃から雪だるまを作るのに憧れ、ニュースで雪の便りを見るにつけ、行ってみたいと思っていた。それが今では、雪の朝に家の前で雪かきをする生活となり十数年経つ。日によって雪の降り方、時間で違う雪質なども分か

来し方・・
2021年12月20日
久々に東京の知人から、出張で来札するとの報せを受けた。その日は予定の時間より早めに出掛け、地下鉄すすきの駅から地上に出て、信号待ちの人込みから交差点角のビルにある行き付けの店に目を向けると、窓の灯りが見当たらず一抹の寂しさを覚える。 風の

変身・・
2021年11月15日
子どもの頃、テレビがあるのは町内でも商いをしている家であり、日暮れになると腕白どもが迷惑を顧みず、そこの居間に集まってくる。隣と肩が触れるのも気にせず、『これから始まる物語』を待ち焦がれていた。 画面の中から流れてくるメロディを耳にした途