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Bunちゃんのわかっちゃいるけどスピーキング

No.1,031

Bunちゃん

2012年3月19日

 「ブンちゃんのアルバイト歴、その6」へ。3週前にお話しした、「その5」は千葉県市川市での喫茶店「うさぎ」で雇われマスターのバイト話でしたが、そこの経営ママさんの親族が上下水道工事の会社を経営しており。ゆえに大学2回生であったボクは喫茶店のアルバイトと並行して夏休みに入った頃、誘われるままに友達の「新ちゃん」と共に早朝の5時に喫茶店からやや離れた処にある、いわゆる「飯場」と言うのか一棟の木造アパートをぶち抜いた空間に十数人ほどが寝泊まりしている薄暗い建物の前に集合した。
 初めての本格的「ドカタ」仕事にいささかビビリながら、その建物から次々とヘルメット姿でむさ苦しそうに出てくる男たちに「おはよう御座います!」、などと直立不動で愛想笑いの僕たち。田舎から東京に出てきて既に1年経過したボクは、それなり興味本位にその1年間は東京人のクラスメイト達(とは言っても2、3才年上は当たり前)に連れられて昼夜にかけ東京の街に接していたが、それでも今回のバイト先は怪しげな面々。ろくに紹介をされるでもなく、親方に言われるまま2トントラックへ乗り込み、運転席には新ちゃんが座り前の白いワゴン車について来るように指示される。さて、眠い目をこすりながら発進。
 さすがに東京の入りくんだ住宅街の道は狭く、トラック1台の幅ギリギリの道を右に左に進んでいく訳ですが、又、その運転手の新ちゃんは今でこそ、故郷の福島県三春町で役所勤め、昨年の震災以来大変な任務に身を投げ出しておりますが、当時は典型的田舎者、寝坊でドジな東京理科大生。運転免許書も取ったばかりで下手くそ。バイト初日のトラック運転で、サイドミラーを電柱にひっかけて割って落としてしまいました。泣くかと思いきや、恐怖を通り越したのか「ガハハハ!」と高笑いしてはお腹抱えてヒーヒー言っている。数十分後に工事現場に着いたならば、無口で強面の親方に何と怒鳴られるかを想像してアホになってしまったのか。
 助手席のボクは、そんな中も未だ町が起きてこない青白い空と風に解放されたのか、単なる若さなのか、気が付いた時には一緒になってお腹抱えてゲラゲラ笑っておりました。「ああー、青春!」。
 その日の夕刻、身体は無傷で帰ってきましたが翌日から新ちゃんは姿をくらまし、ボクはと言えば喫茶店バイトの手前も有り1週間程で身を引かせて頂いた、工事現場バイトでありましたのよ

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