源氏と平家・・
2012年5月21日
子供のころ少年少女文学全集の源平合戦に胸をワクワクさせ、源氏一族や平家一門の名前を諳んじていた。
小学校の図書館で「平家物語」を見つけ、続いて「源氏物語」を読んだところ、義経も清盛も出てこない。以来、源氏物語に手が出せなかった。
時代劇映画や連続テレビ映画を観ていたこともあってか、本を読むうち場面が浮かんでくる。今も戦国ものだと石垣や城など合戦場面にタイムスリップ。「鬼平犯科帳」や「御宿かわせみ」に至っては、八百八町の住人になっていた。その影響か源平や忠臣蔵など、歴史を題材の歌舞伎には解けこめた。
歌舞伎好きが集まるサロンを紹介された。ここで平家物語をテーマに、歌舞伎と歴史的背景に関連する曲や歌を挟んで一時間話しをする。歌舞伎で「義経千本桜」がよく上演され、「一谷嫩軍記~熊谷陣屋の場」は、歴史上名高い一ノ谷の合戦を素材にした熊谷直実と平敦盛の物語。
敦盛が主人公の「笛吹若武者」は、大川橋蔵さんのデビュー作で美空ひばりさんとの共演が話題を呼んだ。唱歌の「青葉の笛」では敦盛が詠われた。テレビの大河ドラマ「源義経」のとき、舟木一夫さん扮する若武者ぶりが人気を博し「敦盛哀歌」のレコードジャケットにもなっている。
神戸の須磨寺には、敦盛の愛笛と伝わる小枝の笛(青葉の笛)があり、周辺に源平の古戦場も多く、訪れてみたい気持ちになった。
一般的に源氏に対し平氏でなく平家と呼ばれる。源氏は清和源氏のほかに宇多源氏、嵯峨源氏など多数の系統があり、平氏にも桓武平氏のほかにも系統もあるが、源平合戦では、平清盛一門を指すことから平家と称されるそうな。
歌舞伎サロンの参加者に京ことばで源氏物語を語る方がいる。シナリオを学んだ際の師が隆慶一郎と耳にした。隆先生と言えば、傾き者前田慶次郎を描いたコミック「花の慶次―雲のかなたに」の原作「一夢庵風流記」の作者である。六十一歳で文壇にデビューし五年後に亡くなり、未完の作品は惜しみて余りあるものがあった。
小説家以前は本名の池田一郎で日活の「にあんちゃん」や大映で「高校三年生」を始め、テレビ時代劇「大忠臣蔵」「銭形平次」などの脚本を多数手掛けていた。
隆慶一郎全集を揃えていることから、知己を得るには時間を要さなかった。後日、京ことばで語った録音を聴かせて貰う。ことばの響きも相まって今まで躊躇していた物語に興味が湧いた。
石山寺と宇治に行った際、源氏・・所縁の場所を素通りしたことが悔やまれる。
◎プロフィール
〈このごろ〉区の健康センターでカウンセリングを受けた。血圧が上がっていたので目標を「一日三十分歩く」と決めて四ヶ月・・三キロ減量し血圧も許容内に治まる。