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エッセイSP(スペシャル)

かけ橋・・

たかやま じゅん

2012年8月27日

 乗船待ちをしていると係員に「雨でも船は大丈夫ですよ。出航まで間があるからそこの足湯に浸かってみたら・・」と奨められ、篠突く雨の中で気持ちを和ませる。そこは淡路島南端の福良港。
 岸壁を離れた観潮船から「音に聞こえた~鳴門の潮で~♪」と軽快なメロディが流れ観光案内が始まる。唄っている声は杉良太郎さんだと思った。
 大鳴門橋が近づくころ風に煽られて傘が壊れ、濡れるのも構わずうず潮の驚異に目を見張る。
 一時間ほどで港に戻り「船で流れた歌を知りたい」と船会社に駆け込んだが「昔の歌で船内にテープを流すだけです」と歌手名など詳しい事は判らずじまい。
 後日パソコンで、淡路島、鳴門、うず潮、大橋、音頭などをキーワードに探ると、地元の方の「子供の頃、学校帰りに♪ドント ドント ドント~渦を巻く~観光ソング(うず潮音頭)が流れていた・・」との書き込みを見つけた。
 曲名まで判ったことで「うず・・」、唄っているのが「杉・・」と検索したが、一向に出て来なかった。
 数日後、ネットオークションに『うず汐音頭』のレコードが出品されていた。即決だったので直ぐに届き、聴こえてきたのは紛れもない船上で耳にした歌。
 B面は現在の「うず潮クルーズ」の前身になる「鳴門観汐船」(前田おさむ)を唄っていた。短期間で見付かったのが奇蹟的・・。
 ジャケットに原伸太郎&大倉幸代とある。やはり声は杉さんに似ていた。マーキューリーレコードで定価200円・・だが発売年月の記載がない。
 レコードに詳しい人、昭和の歌謡曲を研究している人などにも訊いてみた。橋が架かる以前・・昭和三十年代のものだと推測に至る。
 大橋で調べた中から、明石海峡大橋を架ける希望を詠った「かけ橋音頭」(小林旭&坂芳子・昭和四十一年)、連絡橋が繋がった喜びの音頭「THE:明石海峡大橋」(オヨネーズ・一九九七年)の二つも手に入った。
 旅先で何気なく耳にしたことが発端となり、短期間で四つの歌を知ったのもめぐり合わせなのだろう。
 激しい渦巻きで海の難所とされた鳴門海峡、流れが速く古来から恐れられていた明石海峡、淡路島を挟んだ二つの海峡に橋が架けられ、本州と四国が直結して人や物の移動が容易になり、生活と経済や観光の要になったことが、歌の中に垣間見えた。

◎プロフィール

〈このごろ〉近くの中学校から放課後にコーラスが流れてくる。土日は朝から聴こえた。歌声の爽やかさに暑さを忘れる。

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