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エッセイSP(スペシャル)

うず・・

たかやま じゅん

2012年11月19日

 押入れから『うず』と題された小学校の卒業文集が出てきた。「うずとは何事も巻き込んで力強く前進する」と校長先生の言葉が記されていた。担任の先生や同級生の顔が瞬時に甦る。それは十二歳のまま止まっていた。
 さっそくパソコンで学校名、同級生をキーワードに検索してみる。だがクラス会や同窓会の記載はなかった。家が商売だった人を入力してみると一人の名前が挙がってきた。いまは親の後を継ぎ、商店街の会長として町おこしなどで活躍する記事がアップされ、顔写真もあった。懐かしさが込み上げ連絡すると受話器の向こうから苗字でなく、下の名前で呼ばれた。なんとも嬉しい響きであった。
 彼とは小中高が一緒だったことから、話は拡がった。社会に出てから転勤を繰り返し、その間に生家もなくなり、帰省するのは法事のみで同窓との交流は途絶えていた。
 街のシンボルである小田原城天守閣は整備が続き、往時の門や橋が再現され、時代劇など恰好のロケ地となっている。お堀に囲まれた二の丸跡に建つ母校は統合で更地となり、講堂が歴史見聞館として現存するのみ・・。
 子供のころ天守台の観覧車に乗ると市内を一望、眼下の動物園には人気者だった象の「ウメ子」がいた。関東大震災で崩れたままの石垣の隙間から家紋入りの瓦が発見できた。五年生の昭和三十五年に天守閣が再建され、豊臣秀吉の小田原攻めに揺れる北条氏を詠ったこまどり姉妹の「ああ小田原城」が広場に流れていた。
 現在公開されている「のぼうの城」では、秀吉の大軍に囲まれた小田原城を俯瞰する場面も登場して、天守閣に登ると海山を埋め尽く軍勢を想い浮かべることが出来る。
 近ごろ「直近のことは忘れ易いが、昔のことはよく覚えている」との会話が多くなった。「昨日何食べたか・・」「あの人の名前は・・」と記憶を弄ることもしばしばある。小冊子から級友たちとの運動会、遠足、学芸会などが垣間見えた。思い出とはこのようものなのだろう。
 〝僕が三年生の四月十五日の時・・〟で始まる「ボート乗り」の記事を見つけた。丁度、お堀で貸ボートを漕いでいた。町内のお祭りで山車行列が通り掛かり、観ようと立ち上がった瞬間、隣のボートがぶつかってきて水にドボン・・近くにいた人に助けられた様子を綴っていた。これが初めてのエッセイになるのかも!?
 表紙には各自が絵を描いた。皆は海の渦だったが、自分は竜巻を画いている。四〇ページの文集が歳月を引き戻してくれた。

◎プロフィール

〈このごろ〉シルヴェスター・スタローンを筆頭に、アクション・スターが一堂に会した「エクスペンダブルス2」を観た。年齢を重ねたチームや一匹狼、悪役での登場は見せ場が満載・・負けていられない。

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