めまい
2013年6月24日
深夜業務で下を向いて後片付けをしていると、床が揺れている。早くこの部屋を出なくては、と思いよろめきながら扉を開けて通路からロビーに出ると揺れていなかった。同僚たちも、地震の話はしていない。揺れていたのは自分だけだった。
今年の1月中旬に、昼食後、ややするとグルグルと目が回った、周囲の景色がゆがんで見えた。壁伝いによろめきながら、やっと長椅子で横になっていると、今度は吐き気がしてきた。吐きそうだ、と妻に訴えた。昼に食べたものが未消化で吐き出された。何かの食中毒かな?と私は考えた。職場に電話をいれて、夜勤を休みたい、と頼んだ。嘔吐は3度つづき苦痛だった。顔面蒼白だ、と妻はいう。私の手足は冷たく気分は悪い。吐いた後で、少し楽になってくると、あすは病院へ行かねばと思った。吐き気、めまいは脳の疾患などの心配もあるので、まずは脳外科へ行った。MRIで検査するが、特に問題がないと医師に告げられる。安心するも、その1週間後に、またも吐いた。自分の体に何が起きているのかと不安になった。ネットの情報や人の意見を参考にするうちに、耳鼻科に行く必要があるという結論に達した。
耳鼻科で左右の耳の聴力を検査すると、左聴力の低下がいちじるしい。「突発性難聴」「メニエール病」の疑いがある、と医師に言われた。耳鳴りや聴力の変化で、めまいが悪化したり改善したりするらしい。医師は、この病気の原因はいくつか考えられるが決定的にこれだと断定できない、と答えた。耳鼻科の帰りに、薬をたくさん手にして気分はうつろだった。
書物で「突発性難聴」や「メニエール病」を調べ始めた。寝ていて急に体を起こすと、脳などへの血流不足や脱水でふらつきがあるらしい。また、足などの運動不足も原因になるらしい。接客業で9時間の立ちっぱなしに近い私の業務は足の運動不足になりがちだ。
いろいろ調べているうちに避けなければならないことが分かった。塩分をとりすぎない、ストレスをためない、喫煙しない、の3つ。私はたばこはのまないが、受動喫煙がしばしばある。周りに吸う人がいると副流煙を吸わされていることになる。気管支の弱い私は副流煙を吸い込んでむせこみ息苦しくなる。できるだけヘビースモーカーから遠ざかるように心がけている。ストレスの発生地からも遠ざかるのも賢明か……。
7月になったら、やまべ釣りが解禁になる。空気の澄んだ大自然のなかで、俗界を離れてひたすら川を歩き渓流釣りを楽しみたい。これこそ私のストレス解消法だ。
◎プロフィール
北海道新聞「朝の食卓」元執筆者。十勝毎日新聞「ポロシリ」前執筆者。2004年「モモの贈りもの」エッセイ集発刊。