グルメグランプリ
2013年7月29日
7月の初旬に職場で「ご当地グルメグランプリが芽室で開催されるんだってね」となぜか急に女性たちが話題にし始めた。私は混雑するイベントに行く気がなかったが、あまりの盛り上がりに、案内チラシを手に入れて職場に配った。チラシでエントリーされている料理の写真を眺めてるうちに食欲をそそられてきた。仕事のシフト表を見ると開催初日の7月6日は夜勤なので行ってみる気になった。
その朝、日焼けとめクリームを顔に塗ってから自宅を出た。芽室公園まで一人で歩いて行った。会場はまだ準備中だったが、どんな店があるかリサーチするためにテント前を眺めて歩きまわっていると、やがて人々が店舗前に並び始めた。私は別海の「ジャンボホタテバーガー」の列に並んだ。3年連続総合グランプリで殿堂入りして審査の対象から外されているが、ぜひ食べてみたかった。
10時にイベント開始の花火が打ち上げられ、やがて先頭に立って待望の「ジャンボホタテバーガー」を手にしてカバンに入れた。丼や皿を必要としない料理なのでお持ち帰りに向いている。もう1枚のチケットを手にして、次はどの列に並んだらよいのかと思案した。
「オホーツク干貝柱塩ラーメン」や「十勝清水牛玉ステーキ丼」は意中のメニューだが、人気ゆえに長蛇の列だ。太陽が頭上で照らしつづけているのに、並んで待つのも時間のロスと思えて、あまり列のできていない料理を食べようと考え「オホーツク網走ザンギ丼」に決めた。その料理は鮭の切り身を揚げ、野菜や海産物とからめた丼だ。テーブル席が満席で、芝生に料理を置いてあぐらをかいて食べた。料理にA級だのB級だのと人気度を競うのは面白い企画だが、自分がおいしいと思って食べれば優劣不要のご馳走である。
丼をたいらげた後で、物産コーナーで買い物をして会場を出た。来場者が3万人とか報道で予測していた。町内を走る車のナンバーも道内各地から来ていることがわかり、人気のある催事なのだろう。
自宅に戻り、さっそくホタテバーガーを食べた。ホタテは小粒だがコストをケチらない程度の量がはさんであった。妻にもおすそわけして、その味に満足していた。
さて、2日後の職場で「グルメグランプリ」の会場で撮った画像を得意げに見せた。職場でこのイベントの話であれだけ盛り上がっていたのに、誰も行っていないことが分かり、私は拍子ぬけして笑った。
◎プロフィール
北海道新聞「朝の食卓」元執筆者。十勝毎日新聞「ポロシリ」前執筆者。2004年「モモの贈りもの」エッセイ集発刊。晩成社と鈴木銃太郎の研究家。