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エッセイSP(スペシャル)

冬の日本酒

冴木 あさみ

2014年2月 3日

 今年の冬は平年よりも寒さが厳しいというが、一年前の数度の気温の違いに気付く人がいるのか疑問だ。メディアで寒い寒いと言われると余計寒く感じるような気がする。
 寒さよりも問題なのは雪だ。札幌の今年度の雪対策にかかる予算は百五十一億五千三百万円。予算の7割以上が道路の除排雪費用で百十六億円、うち四十億円が運搬排雪に使われている。春になれば自然に融けて無くなる雪にこれだけの大金が投入されるのだ。もったいないと嘆いても事態は何も変わらない。ここは気持ちを切り替えて「冬だからいい」というものを探して楽しむほうが賢いだろう。
 ということで私は最近日本酒を楽しんでいる。職場の上司に、あるとき「ところで日本酒なんかは飲むの?」と聞かれた。私は量こそ飲まないが酒類はなんでもいける口。「もちろんです」の返答以来、仕事帰りに時々一杯やる仲になった。
 七十歳の上司は相談役・顧問のような立場で週二、三日出勤している。年を取るにつれ飲み仲間がいなくなったとのこと。退職後夜の外出が億劫だ、病気で酒が禁じられたなどと仲間が一人また一人と脱落していったという。上司は健康管理を怠らず細身で実年齢よりも若く見える。でもアルコールの量は確実に減り、長居もしたくない。仕事の帰りにほろ酔い程度に飲みたいが、日本酒の相手をしてくれる人がいないのだと苦笑い。
 先日は立ち飲みの店に行った。前から興味があったがなかなか行く機会が無かったのでこれは嬉しいお誘いだった。間口の狭い細長い店内には一人客が数人いて女性の姿もあった。どの店でも一人で食事をする女性を見かけるが、立ち飲み酒場で一人飲んでいる姿は結構格好いい。一杯だけひっかけてさっさと帰ることができるのも、一人飲みに都合がいいかもしれない。升酒が酒の風味を引き立て風情も抜群。枝豆とするめをあてに八海山を楽しんだ。冷え性の私にとって冬の日本酒は身体を温める一つの方法でもある。
 この十年間で日本酒の国内消費量が三割に減ったという。逆に海外では日本食ブームの影響もあって輸出は倍になったとのこと。昨年名古屋の酒類卸会社が日本酒を広めるべく「おちょこガール」を発足した。若い女性をターゲットにお洒落な楽しみ方や日本酒に合う食事を紹介し横のつながりを広げようという取り組みらしい。しかし二十代のガールに限るところに了見の狭さを感じる。おちょこは熟女がそっと口に近づけるほうがさまになるのに。口には出さないけれど。

◎プロフィール

さえき あさみ
札幌市在住。福祉施設勤務。
写経・手話の勉強・南の島への旅行が今年一年の計。

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