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エッセイSP(スペシャル)

インタビュー

冴木 あさみ

2014年3月 3日

 ソチオリンピックが終わった。連日感動のライブ観戦で寝不足の人も少なくはなかっただろう。
 開催前からフィギアスケートとジャンプに期待が寄せられていたが、普段目にする機会のない競技もオリンピックという特別な大会で注目を集めることができる。早々にメダルを取ったスノーボードの演技はアクロバティックで、ルールを知らない素人にとっても迫力満点、見応え十分だった。軽々と空中を舞いメダルを取ってしまった十代の若者二人。試合よりも慣れないインタビューの方が緊張したのではないだろうか。マイクに向かって話す顔が初々しくほほえましかった。オリンピックでメダルを取るのは彼らの夢であっただろうが、国を背負って戦うという意識はあったのだろうか。
 注目度の高い大会は緊張感に包まれるせいか、人の言動に敏感になる感がある。メダルを逃したが入賞した選手の「いい思い出になり楽しかった」というコメントに対し「個人の思い出作りのために国費を使っているのではない」と批判した人がいる。本人の意識がどうかは分からないが、インタビューに慣れていない若者の発言に噛みつくのもどうかと思う。メダルを取れずに申し訳ないと泣いてみせれば納得がいくのだろうか。彼らは国の代表ではあるが日本のために人生を賭けて苦しい練習を積んできたわけではない。強化のために助成金が支払われているにせよ、メダルはあくまでも個人の目標、夢なのだ。
 前回は同じくスノーボードの選手の着こなしが問題になった。腰パン、ブレザーの下からシャツを出しだらだら歩く姿は確かに国を代表する選手として見栄えはよくなかった。これは本人の問題だけではないだろう。選手として選ばれた時から帰国して解散式をするまで一国の代表としてのマナーとわきまえ方を教示するのは大会組織の責務でもあると思う。
 しかしインタビューのノウハウまでは難しい。短時間で不特定多数の人間に自分の気持ちを誤解されることなく伝えることは難しい。大衆の面前で話すことが商売の人さえ失敗を犯すのだから…と言いたいところだが、元首相の大事な場面で転ぶという発言は失敗として受け流すには重すぎる。この方は様々な失言を発しその都度世間を騒がせてきた。国際的注目度の高い東京オリンピックの委員会会長として大丈夫なのか、心配するのは私ばかりではないだろう。おもてなしの心をアピールして当選した東京オリンピックなのだから特に失言は許されない気がする。競技以外の所でハラハラドキドキさせられそうだ。
 何はともあれ引き続き同地でパラリンピックが開催される。また数々のドラマが生まれるだろう。温かい心で応援したい。

◎プロフィール

さえき あさみ
札幌市在住。福祉施設勤務。
写経・手話の勉強・南の島への旅行が今年一年の計。

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