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エッセイSP(スペシャル)

遥か・・

たかやまじゅん

2014年5月26日

 地図を広げ、なぜそこに大坂城があるか、仁徳陵がどうして出来たかなど、山や川を俯瞰した視点で捉える「地形から読み解く日本の歴史」というユニークなムック本を見つけた。
 モーターパラグライダーを操り、桜や紅葉の大地を鳥の目で撮影する多胡光純(てるよし)カメラマンは「天空の旅人」と呼ばれ、自然を空間に醸し出す映像は圧巻で、DVDを揃えてしまう。
 天空と言えば、ポスターでも識られる竹田城へ行く。晴天に恵まれたツアーバスは、早朝の天王寺駅を後に出石方面へ向かう。京都を抜けて、福知山市の夜久野(やくの)高原に立ち寄った。しだれ桜の並木道は、ふんわりした香りが漂い、知らず知らずこころが和んでくる。
 周りに「いずしに行く」と告げたら怪訝そうな顔をされた。北海道で言う飯寿司に非ず、但馬の小京都と称され、皿そばでも名高い豊岡市の出石町のことだ。
 先ごろ、兵庫県の郷土史家で、但馬地方の城郭研究をされている川見章夫氏から「但馬の城下町 出石を歩く」が贈られた。この本に記された城下町の一角に、辰鼓桜が見えた。明治十四年(一八八一)から時計台として親しまれたとあり、なんと札幌の時計台とおない年ではないか・・。
 出石から朝来(あさご)市に奔り、駐車場でマイクロバスに乗り換え、中腹から歩くこと20分ほどで累々たる石垣が見え始めた。世情を反映するのか、行き交う顔ぶれは年配の女性が多い。風物詩となった雲海は限られた時にしか現れない。遺構を視て廻ると連郭式の縄張りに目を奪われ、これこそ登ってみて初めて分かった。機械のない時代、標高353.7mの山頂にどうやって造ったのか、麓に広がる町並を見下ろし思いを馳せるのも趣の一つで、ここが日本の「竹田城」だと実感する。
 たそがれの天王寺でバスを降り、開館して間もない「あべのハルカス300」へと足を運ぶ。地上60階300mの展望回廊は、前日に訪れた四天王寺や茶臼山古墳が足下あり、時のはざまで上町台地が、壮大な煌めきを供してゆく。
 翌日は、地上から80mある堺市役所21階の展望室にいた。ビル群の谷間に大阪城を望み、戦国時代に豪商が富と文化を誇り、武将たちが割拠した堺の港、さらに仁徳天皇陵など古墳群を目の当たりにし、古代~中世~現代を、遥か上空から捉える智見の旅となった。

◎プロフィール

〈このごろ〉ICカード乗車券を教えられる。駅の雑踏で行先までの料金を探すこともなく、改札の乗り継ぎでもスイスイと流れて行く・・

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