湧く・・
2014年9月15日
完成して3年後に消え去った安土城は、お城ファンのみならず歴史好きなら一度は訪れたい聖地であろう。先年、念願叶い安土山に登って来た。城址には織田信長公本廟と総見寺が建っている。
戦国時代をテーマにした歌を出している浜松の浜北弘二さんから「信長公の末裔の方に連絡してみては・・」と紹介され、神奈川県内のご自宅に電話するとご本人が出られた。
織田廟宗家13世の織田信和氏は、信長次男である織田信雄(のぶかつ)の子孫にあたられる。安土城址の廟所や総見寺は、今も織田一族で祀られているそうな。20分ほどだったが、いつしか信長公と対話をしているような錯覚に陥ってしまっていた。
戦国の世に、鮮烈な足跡を残した織田信長、その墓所・廟所・供養塔を数えると全国で20余になった。
最近の歴史ブームで、有名人の墓所や記念碑を歩くことに人気があり、城や神社仏閣と同様に散策の本も少なくない。武将たちのドラマが躍る「京都戦国武将の寺をゆく」や名古屋の文化が一堂に会した「平和公園の仏たち」などが手元にある。
北海道に目を向けると、ノンフィクション作家の合田一道・一道塾による「北の墓―歴史と人物を訪ねて」が出版された。松前藩の祖となる武田信広公に始まり、開拓の父と呼ばれる島義勇判官や陸別に理想郷を求めた関寛斎翁などの足跡。豪商高田屋の嘉兵衛旦那から新選組の土方副長がいた。喜劇役者の益田喜頓さんや九ちゃんも登場する。氷点の三浦綾子先生から秋の朝ドラの主人公マッサンまで・・何と200名が上下巻に亘って、命日と戒名が網羅され、丹念に調べた所在地は国内各地に及んでいた。
合田先生は、北海道文化財保護協会の会員であることから、話を伺う機会を得た。書くことは足で稼ぐことだと強調され、物事は自分の眼で確かめるという事件記者魂の先生らしい言葉に頷ける。
人物の来歴を辿ることで、様々な角度から歴史が見えてきて、北海道と本州が一つに繋がっていることも改めて識らされた。さらに、旅をしたところの歴史に興味を持つと、その土地や人々に懐かしさを感じてしまうから不思議だ。
前出の織田信和氏から、一族が北海道にも来ているとの話があった。それも安土から利尻と聞く。ムムム「なぜ・・!?」また探究心が湧いてきた。
◎プロフィール
〈このごろ〉10数年ぶりに小樽から岩内を巡る。シャッターの下りた店が多い中、かつて訪れていた得意先を見つけ、感慨に耽っていた。