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エッセイSP(スペシャル)

なごむ・・

たかやまじゅん

2014年12月15日

 小学生の頃に覚えたのは「人群れ」だったか「一路雄々しく」なのか、ともあれ「イチロクマルマル」・・即ち1600年の史上名高い「関ヶ原の戦い」を歩いてみたいと思い立ち、名古屋駅の喧騒をすり抜け、東海道本線の快速に乗り50分ほどで関ヶ原駅に着いた。
 抜けるような青空の下、推奨ルートを頼りに紅葉の山々に囲まれた畑の中にはためく「決戦地」と書かれた幟を目指すと、予報通り暑くなりバンダナが汗でびっしょりになった。
 昼食を用意していなかったことに気が付き、案内図の中から小さなコンビニの文字を見つけた。おにぎり3個を求めさらに足を進め、話に聞いていた西軍の石田三成陣跡である笹尾山に登ると眼下に古戦場を一望できる。414年前、東西数十万の軍勢が秋雨を突いてこの盆地に集結し、歴史に名だたる武将たちがひしめき合い、陣馬がいななき矢玉が飛び交う様を彷彿すると身体の震えを禁じ得ない。
 次の陣営跡を訪ねる道は人影もまばらで、見落としそうな小さな案内板の矢印を確認しながら、島津義弘~小西行長~宇喜多秀家などの陣跡を巡り、杣道に入って大谷吉継の墓に向かうと森閑としていて、悪天候では行けない場所だ。
 中腹からやってきた30代の男性に「こんにちは」の声を掛けたら「この先行き止まりみたいです」と答えた。今度は後ろから「行けないのですか?」と若い女性の声がした。同じ時間帯を前後して歩いていたようで、3人が地図を広げ方向を確認し、ここで出逢ったのも幸いと麓の福島正則陣跡へ向うことになった。東軍勝利の切っ掛けを作った小早川秀秋の松尾山が望める所から下り坂になる。先ごろこけたことがあり、階段や坂道に恐怖心を覚えるので慎重に歩き、旧中山道の街道まで来ると昼時であった。
 ふたりに「兵糧は?」と訊くと「持ってない」と言う。「おにぎり3個あるから分けよう」と路肩で一息つき、男性は横浜、女性は伊丹から来たそうな。「松尾山までは40分かかかるそうだ」とか「今日見れなかった陣跡にまた来たい」と関ヶ原談義が弾み、山の中で不安になっていたこころがなごむようになってくる。
 不破関(ふわのせき)跡あたりからは、標識が人家に隠れて判り難く6つの眼で照らし合わせ、藤堂高虎・京極高知~井伊直政・松平忠吉の陣跡を経て、東軍の徳川家康最後の陣地跡に辿り着いた。
 この日、札幌では長谷川宏和氏がFM番組中の土曜日。事前に彼と打ち合わせていたので携帯が鳴り中継に突入。二人はそんな光景を不思議そうに眺めていた。

◎プロフィール

〈このごろ〉年賀状を書くのに名簿の整理をした。減った筈なのが数えると増えている。このところの出会いが多い証であった。

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