新年の風景
2015年1月13日
いつもと変わりなく日が昇り沈む一日なのに、元旦の朝は違う。新たな一年が始まったというすがすがしい気持ちと、また一つ年を取るのかというしみじみとした感情。誰もが抱くであろう、そして年を重ねる分その思いが強くなっていくはず。
今年の三が日は家族と小樽で過ごした。一度はしてみたい年末年始の海外脱出。ハワイもいいけど時差の面ではオーストラリアの方が優位かなと思いつつ、残念ながらそこまでの財力も無い。帰省する子供たちの短い滞在にあわせて、近場で楽しめるところへ。山の温泉もいいがどんなに充実した施設でもホテルの中だけで過ごすのは飽きてしまう。そこで小さいながら街全体が博物館のようで何度行っても楽しい、しかも家族での泊まりは初めての小樽に決めた。市街地に温泉付きの宿もある。家族が一部屋で過ごすにはやはり畳の部屋が寛げる。日本海側の荒天の予報とは裏腹に、天気に恵まれ珍しいほど太陽がまぶしい数日間だった。
小樽は札幌よりも積雪量が多く、背の高さの雪壁が続いていた。ところどころに人間の形が付いている。それらは台湾あたりの観光客の喜びの印のようだ。雪に感激して雪の壁に身体を押し付けたり、雪玉を手にして撮影している姿をよく見かけた。そこで初めて目にした「自撮り棒」。黒板の文字を指し示す棒のように伸縮可能な棒で、棒の先にスマホを取り付ける。第三者の手を借りずに遠目に自分と風景を撮影できる便利グッズだ。自分を撮るための棒。ネーミングが楽しいが、日常生活でそれほど自分を撮る機会があるというのがすごい。韓国や中国でヒットした道具で日本でも購入者が増えているとか。昨年台湾を旅行した娘の話では台湾では大型液晶画面のスマートフォンが人気で、それに「自撮り棒」を付けている人をよく見かけたとのこと。先端にスマホを取り付けた五~六十センチぐらいの棒を持って歩く集団は観光地ならではの面白い光景だった。今更ながら電話、ネット、メール、デジカメと一台何役をもこなすスマホは今世紀最大の発明機器だなあと感心する。
昨年LEDの発明でノーベル賞受賞者が三人も出たが、誰でも操作できる情報機器の世界での受賞がないのが残念だ。これだけ世界中に、しかも子供を含めた一般人に普及しているという点で解りやすい科学の発展の功績に思えるが、既存の技術の結集という面ではノーベル賞に向かないものなのか。機能的には飽和状態と思えるスマホ。今後の展開はどうなっていくのか、実はまだガラケー使用者の私さえ気になるのだ。
◎プロフィール
さえき あさみ
札幌市在住。福祉事業所勤務。
今年は地面を蹴って羽ばたく年に。
就寝前の読書は最近暫く敬遠していたフィクションの世界に浸っている。