つくる・・
2015年1月26日
かつて、人前で話をすると動悸が高まり冷や汗が流れてきた。プリントやテキストがあればまだしも、手元に何もないとその緊張度は頂点に達していく。解消法として、黒板や模造紙をツールにしたこともあった。
後にオーバーヘッドプロジェクターが導入された時の有難さは忘れ難い。ワープロで文字の大きさにメリハリを付け、シートにカラーフィルムを貼るなどカラフルにすることで分り易くし、キーワードを隠しクイズのようにしたりするとスムーズに話が出来た。
対談の企画に携わった際には、話の合間にテーマに纏わる楽曲等をストックしておいた音源から選び、話と歌を繋げてみると楽しく話を拡げられた。
今では、プレゼンテーション用のパワーポイントという図形・グラフ・色をレイアウトできる多機能ソフトが普及している。
直近で『映画音楽で甦る~映画館と名作の風景』と『八犬伝の魅力を語る』のふたつのトークショーをコーディネートし、活用する。画像を入れることで視覚的にもよく、全ての作業がパソコンの中で行え、写真の配列も自在で音と画をどう組み合わせるか・・構成する楽しさが倍増した。
トークの場合、自分が司会なので分刻みの進行表を作り、独り善がりにならないよう経験のある友人たちにアドバイスを貰うようにしていた。
こうして固まったものが、打ち合わせの段階で対談相手が共感してくれたなら、もう成功したようなもの。当事者が面白いと思わなければ人に伝わらない。当日の会場で「どんな歌と画像が出てくるか・・」と耳や目を傾けてくれる客席を見た時に、遣り甲斐を感じる。
たとえ準備期間に幾日掛けようとも、机に置いたデジタル時計が時を刻み、最後のBGMが終りジャストタイムにマイクを置いた瞬間の安堵感は、作った者しか味わえないもので、時間通りで終わらせること・・これはこだわりと言っても過言ではない。
だが、このあと自責の念に駆られる。なぜなら、記録を聴いてみると言い間違いや言葉足らずの個所があることだ。「どうして・・」と悔やんでも後の祭り。そんな思いも束の間、すでに今春のトークの構成が始まっている。
◎プロフィール
〈このごろ〉早朝から息子が率先して雪かきをやってくれる。「この冬は任せて・・」の言葉に、痛めた手も和らぐ。