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Bunちゃんのわかっちゃいるけどスピーキング

No.1,179

Bunちゃん

2015年4月13日

 本紙でも執筆しておられる吉田政勝氏が「流転 依田勉三と晩成社の人々」なる新書をこの度出版され、ご縁を頂き読ませて頂きました。
 さて依田勉三氏、御苦労の末帯広開拓された人物とは予てより知るも、改めて氏の足跡を辿り読みますと、生々しくつまされ。二十七名で晩期大成よ、と、「晩成社」を立ちあげ静岡の伊豆から船で函館、大津からアイヌ丸木舟で十勝川さかのぼり帯広に掻き分け入り草木を伐採開墾、蚊にバッタに大攻撃を受けつつも「三歩進んで二歩下がる」の激務に邁進原野を畑、牧場、連れて精肉店とゼロから人の営み場を創造していく。「開拓の始めは豚と一つ鍋」とは幼小頃から聞く帯広お菓子、当時は六花亭の前の千秋庵だったかな?、モナカがそれに因む鍋の形で包装に書かれし其のセリフと共に強く記憶に残っておりますが、その出自エピソードにも触れ、夫婦の仲間達の悲喜こもごもにも触れ、この地に暮らす「今」から当時を想い巡らしております。
 特段には、彼らが入植して来たのが高々百三十年前って事実です。近頃よく聞く今年は「戦後七十年」から遡っても何と最近の出来事と。我らの曾爺さんの頃、「ついこの間感」もひどく「隔世の感」、北海道津々浦々と電気上下水道航空高速道路網に今や新幹線、と、当時では本州でも近隣県へ出かけるに変わらぬ身近感覚に成り。無論、晩成社ならずとも他の人々が開墾したでしょうが実際当時入って来た彼ら有縁の子孫系譜を知りたいですね、鈴木銃太郎氏など初代人達の今に至るDNAを。
 ボクにしてもそうなのですが、身近な親の幼少期とか祖父母の半生でさえロクに知らずに見送り、後で「アレ?、自分のルーツはどんな事になっているのだ?」と、そして「誰誰ちゃんは親戚だけど、どんな繋がりだ?」、なんて或る程度年齢を重ねるとヒドク意識して知りたくなるもの。「今、存在する有縁の方々に話を聞いておかねば!」、と気づかせてもくれた吉田氏渾身の一書でありました。

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