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エッセイSP(スペシャル)

ひとり出版社

吉田 政勝

2015年4月27日

 4年がかりで書いてきた原稿が本になった。「流転・依田勉三と晩成社の人々」である。自費出版なので「モレウ書房」と名づけた。モレウとはアイヌ意匠でふくろうの目玉で厄よけの意味がある。
 納品された日に、本を何度も手にとった。夜は布団に持ち込んで読んだ。まさに一人熱狂のはてに出来た本であった。
 やわらかいソフトカバーのオシャレな表紙デザイン。菓子店の包装紙のようなイメージを意図した。本文は需要読者の熟年層を意識して大きめの活字にした。
 本の裏面にバーコードを入れるために図書コードを収得した。番号が届くまで3週間も要し、印刷入稿が遅れた。
 あげくに、東京から船で運ばれる本文の用紙が海が荒れて1週間ほど遅れた。さらに、作成した私のデーターが印刷会社でプリントすると行の位置が動いていた。微調整に時間もとられた。
 表紙カバーを印刷すると、ベージュ色の紙に色が沈んでイラストの色が薄い、と担当の部長から連絡があった。もう1色濃い色を重ねて刷ることになった。部長が印刷行程をチェックする立場にあるから不具合にすぐ気付いてくれた。私は部長宛に、注意を払っていただきありがとうございます、とお礼のハガキを書いた。落度なく仕事を進めるには、どんな些細なミスも見逃せない。用心深い協力者の助言は本当にありがたい。
 私は自費出版の経費について一切口にしなかったが、協賛します、と名乗り出てくれた方が1名。いきなり現金書留が届いた方が1名。その相手には希望する資料を送り、長い文面の手紙を書いていた人だった。本づくりの経費の援助は思惑外で誠に恐縮であった。
 手紙の誠意が通じたのか、依田勉三の末裔、依田博之氏より十勝未公開の写真が届いて驚くと同時に感激した。
 本を読んだ方々から感想がハガキやメールなどで届いた。
 一読して内容濃い、テンポ・迫力ある労作と感動しました。(依田勉三研究家)
 自分の子供が今、1歳4ヶ月になるのですが、同じような年頃の子供を2回も失った勉三の気持ちを思うと夜中に1人で泣いておりました。(若き某政治家)
 十勝開拓の祖について関心を抱き、ついに著作としてまとめられたご熱意に心から敬意を表します。「熟年層を意識して本文の活字を大きくした」のは実にあたたかく細やかな配慮です。熟年のみならず、若い人にも読んでもらいたい本になりました。(某新聞社・元取締役)
 エッセー教室の講師である藤原てい先生が「やがてあなたは長い文章を書くでしょう」と25年前に言われた。そのことばを思い返して、私は不思議な気持ちがしている。

◎プロフィール

(よしだまさかつ)
北海道新聞「朝の食卓」元執筆者。十勝毎日新聞「ポロシリ」前執筆者。エッセイ集「モモの贈りもの」発行。晩成社の研究家。

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