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エッセイSP(スペシャル)

12月だ

梅津 邦博

2015年12月14日

 クソクラエだという気分が温泉の湯気みたいにもわぁっと湧き立っているような感じがしている。セイジョーな神経だからそうなるのだ。
 セイジカが、カンリョーが、さまざまな目論見によって仕組みをつくって国民を働かせている。だいたいが人間は、ねんがらねんじゅうあくせくしながら働かなくてはならないのだろうか。そんな世の中っておかしいんじゃないのか…え?。もっと自由きままにみんなと明るくくらして生きるのがホントじゃないのか、縄文時代の人々みたいにさ。なのに彼等がいろいろと取り決めながら我々をかんりかんとくするなんてのはもってのほかではないのか。あのな、国を、国民を、おもちゃにすんなよな。
 ぼくはぼくで神様からいただいたこの命と肉体なのだ。いいですか…川の流れに何事かをかんがえていっときを過ごす。夜空の星をながめてくうそうにひたる。公園を歩きながらすごす。などとしなくてはならないことがたくさんある。自然がぼくをそだてて生かせてくれている。そういうことがただしいありようなのだ。しょっちゅうそうしたいのに、それがなかなか出来なくて気持ちがひからびかける。ただ生きているわけではないんだよ、そんなボンクラではありません。
 見なさいこの美しい世界を…夏の陽に光がはぜる小麦畑、透き通った渓流の水面下に目を凝らすとイワナがくねって陽の光を跳ね返すその美しい耀き、雪がしんしんと幻想的とさえいえるそのふりゆくさま、冬の寒気が街を歩く人々をくるむその世界。などソーリらはしらないのだ。人というものの本質から遠く離れてしまっているのではないのか。かわいそうに…。
 とにかくあれだな、ぜいたくできなくたっていいから、のんびりとくらしたい。じぶんの街などをさんさくしたい。映画をみに行きたい。初夏の天気がいい日の街中で、テーブル席に腰かけながら本を読んでいたい。見上げると陽射しがさんさんとふりそそぎ、真っ青な空色がぼくを染めてゆくかもしれない。夜はたまにロアジールでシーフードサラダかビーンズピクルスをあじわいながらビールをかるくやりたい。
 もっとも生活している以上は、それなりに家ん中をそうじをする、あるいは決められた日には燃えるゴミや燃えないゴミだとかを善良な市民のごとくちゃんと出してゆくくらいのことはとうぜんするのだ。これでもジョーシキ人ですから。
 と、まぁ、あれこれと考える。たのしいねぇ…生きてくらすってのは。ぼくはヒコクミンではないつもりだけれど、しかし日本でそんな生活はムリだな。

 ─12月だ、たいへんだ。
 支払いもあるし、年越しの買い出しもあるのだ。ビールも鹿追生ソバもカマボコもモチも買わなきゃならない。あぁ…たいへんだ。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。
著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)
銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)
喜久屋書店/ザ・本屋さんにて発売中です。

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