札幌ドームへ
2016年10月24日
「ファイターズ対ソフトバンクのクライマックスシリーズの第1戦のチケットが1枚あるよ」とメールでの誘いがあった。
メールの発信者は6年前の職場に勤めていた時の日ハム仲間の女性Hさんだ。しかし、その日に我が家のFFストーブの取付けがあるかもしれない。返事をできずにいたが、工事が11日に決まった。これで10月12日は安心して札幌ドームへ出かけられる。仕事の依頼主には「12日は休みたい」と伝え、進行中の仕事を仕上げた。
当日の昼すぎに芽室公園で「つたいバス」を待った。乗り込むと前の方の席にHさんとMさんがいた。二人とも今年の夏に帯広の森で行われた「日ハム対楽天」戦を観戦していた。よろしく、と声をかけて、Mさんの隣の空いてる席に座った。
黄色に染まる山を越え、サービスエリアでトイレタイムを経てドームに着いたのが4時半だった。南ゲートから入った。私は彼女らと離れ、屋台でラーメンを手にし、ショップ前の階段に座った時、汁が手にかかった。ティッシュで拭きおえると、背後のおばさんが「お兄さん、ゴミこの袋に入れなさい」と声をかけてきた。私は振り向いて「ありがとうございまっす」と高倉健のごとく律儀に礼を述べた。ここに来ている人々は戦友なのだ。
レフト外野席の自分の席に着いた。左側にMさんがいた。やがてHさんも隣に座り弁当を食べ出した。
大型画面に先発選手が発表される。投手で8番打者の大谷翔平の顔画像になると、場内がどよめいた。試合は0の数字が並んだが、5回裏に大谷が中前打を放ち先制劇を演出し一挙に6点が入った。
ヒットの度、日ハム選手がホームベースを踏む毎に、場内は歓声があがり、大騒ぎになる。ハイタッチが周りで交わされる。前の席の若い女性が手を出してきたので応じる。振り向くとおばさんが斜めから腕を伸ばしてきたので、その手を握っていた。
その時、私の脳内にはドーパミンが噴出されていたに違いない。興奮状態で、野球っていいな、と思った。
◎プロフィール
(よしだまさかつ)
北海道新聞「朝の食卓」元執筆者。十勝毎日新聞「ポロシリ」前執筆者。「流転・依田勉三と晩成社の人々」刊行。