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エッセイSP(スペシャル)

日 本 一

冴木 あさみ

2016年11月 7日

十月二十九日、日本ハムファイターズが日本一に輝いた。ブラボー。今年の北海道の十大ニュースにランクイン確実、スポーツ分野では断トツ一位だろう。時はハロウィーン直前。何だか分からないお祭り騒ぎとの相乗効果で人々の脳内アドレナリンが大放出された週末だった気がする。野球に疎い私でさえ、クライマックスシリーズから突如として日ハムファンとなり、テレビ一人観戦ではあるが応援に参加。いやいや、秋の夜長の楽しかったこと。
 私の職場に札幌ドームにマイシートを持っている人がいる。日ハムの札幌ドームでの試合観戦の年間パスポートだ。今年も足しげくドームに通っていた。彼女の解説で少しずつ私も知識を増やし試合を楽しめるようになったのだ。
 彼女は五十を過ぎた頃癌を患い大きな手術をし、外見上全く分からないが身体障害者になった。手術以来しびれや身体機能の制限などはあるが経過は良好で、もうすぐ五年を迎えるとのこと。昨年私の勤める障害者福祉事業所に面接に来た時の一言は今でもはっきりと覚えている。
 「病気だから家に居て療養するだけでは何のために生きているのか分からない。ここで仕事をしたい」
 今現在問題は無いとはいえ、本人は長生きはできないと考えている。もし癌が再発したら積極的治療は拒み、緩和ケアで自分の運命に逆らわずすべてを受け止めるつもりだとのこと。術後体調が安定してから仕事を得、他にも楽しみを感じる日々を送りたいと、友達に誘われるまま日ハムの試合を見に行ったのがきっかけで、日ハムファンとなった。年に何度か遠くへ旅にも出て、障害を抱えた華奢な身体で信じられないほど行動的だ。今を楽しく存分に生きる。やりたいことはやる。病の行方は神のみぞ知るが「限られた人生」は彼女にとってリアルなもので、「どう生きるか」は切実な課題なのだ。
 私と同い年の彼女からは日々勇気を貰うに留まらず、日常に流されつい忘れがちなテーマに気づかせてもらえる。「人は如何に生きるか」では高尚過ぎて手が付けられない。「今をどう楽しむか」に転換するだけでだいぶ見えてくるものがある。
 話を戻して、十一月二十日。札幌市北三条広場からすすきの交差点まで、日本ハムファイターズの優勝パレードが行われる。市電の交通関係によりパレードを盛り上げる紙ふぶきは中止とのことで少し残念だ。小旗を激しく振って選手の栄誉を称えましょう。この日ファイターズファンの熱い群衆の中に私も入れてもらいます。

◎プロフィール

何かのきっかけでPPAPが頭から離れない。人の思考を読み取る能力のある人はいるのだろうか。絶対に会いたくない。

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