また来たい・・
2016年12月19日
小田原に墓参りを兼ね大幅な展示の模様替えがされた天守閣に登城する。さらに東海道線を挟んだ向かいの高台に遺る北条氏時代の城郭跡も辿ってみた。やはり、ふるさとの城はいつ来てもいいものだ。
そして現存する四国の四天守を現地ガイドで巡るツアーに参加した。先ずは松山空港から宇和島城へ。予報通り晩秋の雨となり「石段が滑り易い」と受付で注意を促された。午後の松山城は雲が切れ、霧の向こうに高石垣が姿を現した途端に「おぉ~」と歓声が上がる。夜、ホテルの最上階から見上げるライトアップされた天守は、まさに幽玄な姿を天空に誇っていた。
翌日、丸亀城を散策して高知城へ向かう。四国山脈を縦断する高知自動車道は、トンネルと橋梁の連続で大断層も横断しているそうな。鉄筋の橋桁と木造の城から日本の建築技術の推移を垣間見れた。見学先が現存天守に限られたことから参加者もお城好きばかりで、終始説明に耳を傾けている。
案内する人達は、ボランティアガイドの講習を受けた10年以上のベテラン揃い。天守閣の急な階段も難なく登るなどかくしゃくとして、中でも10年掛けて日本100名城を制覇したガイド氏には、周りから「すご~い」と拍手が湧いた。「後期高齢者ですよ」と言われるが、城を語る熱心さはまた来たいと思わせてくれる。こういった人たちが町の観光を支えているのであろう。
四国の2週前は、北海道文化財保護協会の文化財巡りで奈良にいた。この会は、現地の学芸員や専門家の解説によるところが他と違う。今年は、奈良国立博物館で文化財調査に携わり、正倉院展を手掛けた元学芸部長の西山厚先生による東大寺・春日大社・興福寺の案内であった。
参加者の質問にも解りやすく答えられ、先生の仏像や建築物に対する熱い思いがヒシヒシと伝わり、また来たくなってしまう。夜、春日大社の大修理を祝して参道に燈火が点る燈花絵に行くと、闇の中に無数の灯りが揺らめき、いつしかいにしえの世界に誘われたような錯覚に陥る。次の式年造替は20年後とか・・。
◎プロフィール
〈このごろ〉飛行機の窓側は若い二人連れ。棚の荷物を手伝うと声を合せ「ありがとうございます」と頭を下げる。思わず「幸せにね」と言葉が出た。