雪が・・
2017年1月30日
暮れも押し詰まっての大雪は、鉄道を寸断し空港もマヒするなど、仕事や生活までも支障をきたし、今までの記録を塗り替えた。
この日の夕方、末弟から電話が入る。丁度、出張で来札していたので、羽田に着いた連絡だと思った。ところが、搭乗便が欠航となり千歳空港で足止めされ、市内のホテルをやっと押さえて札幌行の電車に乗るところだと言う。それなら一緒に飯でも食べようと家を出たのだが、最寄りの駅まで歩く間も雪また雪・・。
地下鉄大通駅の改札口を抜けると、地下街を行く人波がススキノに向っている。三連休前と週末が重なることから飲み会の人たちに違いない。行きつけの居酒屋も予約で満席と言われたが、カウンターに席を設けて貰え、久々に兄弟で酌み交わす酒は嬉しいものとなった。店のある8階から眺める街並みは見事なほどの白一色、2時間程して混み始めた頃に席を立つ。外に出て滑り易い路面と人混みを縫うと、足は馴染のスナックを目指していた。
店内はカウンターとボックスで20席ほどだが、先客は2名であった。ママの人柄によるものか、お客さん同士が親しくなることも少なくない。あの日本ハムファイターズの優勝戦の日は、歌もそっちのけでモニターの野球中継に一喜一憂、店が一体となって声援を飛ばした。
時が経つにつれ雪まみれの人たちが扉を開け、次々と席が埋った。やはり欠航で戻った人がいて、弟と話が盛り上がっている。やがてマイクの順番が回ってきた。何しろ一緒に唄うのは初めてのことであり、8つ違いともなると選曲も違う。歌についてはうぬぼれ屋の私だが、彼の唄いっぷりには驚かされた。仕事柄、付き合いも多いようで場数を踏んできたのだろう。実に上手いのだ。
暫くして隣の席から「ご兄弟ですか・・!?」と声を掛けられた。他人から見ると判るようだ。70歳と思しきその方が「自分が高校生のとき、7つ上の兄が25歳で亡くなっている。もし生きていれば一緒に飲めただろう」と私達を見て、自分に置き換えていたそうな。この言葉は私の心を打ち、顔を見合わせた弟も目を潤ませている。こうして雪がもたらした師走の夜は、兄弟のえにしを深めることになった。
◎プロフィール
〈このごろ〉スター・ウォーズのスピンオフ映画「ローグ・ワン」は、第1作を彷彿とさせる。そこにレイア姫役だった女優の急逝が・・