2017年2月 6日

　あまり街中をウロウロ遊び歩くことはない。必要な買い物を終えると直ぐに帰路に着く。けれど仕事帰りに用事を足す場合、職場から近い大通り公園地下のショッピングモールとか、百貨店あたりになるので、どうしてもウロウロ歩き回るはめになる。時々トイレにも寄る。どの辺りでどこのトイレを使わせてもらうか、お気に入りの場所を確保している。人が少なく個室が広く清潔な場所で、香りのいいハンドソープが設置されている所もある。香りに癒される時「あ～、日本人でよかった」と思う。外出先でこれほど清潔なトイレが無料で使えるのは世界中探しても日本の他にどこがあろう。
　ある日、個室が二つしかないトイレに行った時、二つとも使用中でなかなか出てこない。待っているのは私を含め３人ほど。私の後ろに並んだ女性は直ぐに立ち去った。ようやく一つの扉が開き、人が入れ替わった。間もなく同じドアが開き、私は前に並んでいた人が入った個室に入る。出て手を洗い鏡で身なりを確かめる。お隣は依然として閉まったまま。まさか中で倒れているわけじゃないでしょうね？ドアをノックして「大丈夫ですか？」と声をかけたほうがいいのかどうか。かすかに人の気配がする。しかし、異変までは感じられず、気になりながらも立ち去った。
　こんな経験をするのは一度や二度ではない。長い時間中で何をしているのだろうといつも思う。知人に話したところ「ただ出るものが出ないだけじゃない？」とそっけない返事。
　トイレの長い人はいる。以前知人の家に遊びに行った時、トイレの中に本棚があり何冊もの本が並んでいるのを見てビックリした。二十分居座るのもざらとのこと。読書好きの一家とはいえ、メインは読書か排泄か、分からなくなってくる。
「頑張る必要あるの？出たい時トイレに行けばいいでしょ？」
「それじゃあ便秘になってしまうじゃない」
　そこの家族は朝必ず排便を済ませてから学校に行くとの決まりがあり「そのせいで遅刻してもいい。健康の方が大事だから」という教育を受けたそう。人間の身体ってそんなに簡単な仕組みではないのでは？食べるものだって毎日違うし、運動量やスケジュール、体調、ストレスの度合いだって日々違う。毎朝７時半に座れば必ず出るほうが奇跡なのでは。
　清潔で広い空間でつい長居をして寛ぐ気持も解らないではないが、多数の人が利用するトイレを長時間占領するのは迷惑な時もある。進歩著しい日本のトイレ。ドアの外の状況が中の人に分かるシステムを是非開発してほしい。