暮らしてゆく
2017年3月13日
テレビでコメディアンが相方の頭をたたいたり突然わめき散らしたりして客の笑いを誘っていた。話芸の難しさからなのかパフォーマンスでのおもしろさへ打って出ているのだろうか、一発芸にしてもそうなのか。時代の軽薄さと関係があるのではないか。
チャンネルを変えたら安部首相が映っていて、「社会の発展の為に原発を稼働させなくてはならない」と述べつつ「安全対策を万全に期してゆく」などと信じられないことをいっている。
パソコン、スマホなどの機器を通してデジタルワールドが拡がり、世界中に蔓延している。そこからさまざまなトラブルが後を絶たない。
世知辛さを通り越して自己中心的で傲慢な人間が増えつづけ、異常人格が多くなってきているのではないか。いや、それ以上に危険な人間が増えてきて、剰え親が子を、子が親を、虐待したりあやめたりする事件が後を絶たない。人はどうあるべきかは、すべては人間性についての教育にかかっているほかないだろう。
混迷の異常社会にあって、自分としても足元から家の中のことはきちっとしていかなくてはと思う。不甲斐ない自分だが母上を大切にしてゆく。元気でいてくれているが、もちろんそんな立派なことをしているわけではない。ホントは余裕があれば、豪華客船世界一周の旅に連れて行って上げたい。素敵な洋服と魅力的なネックレスやブローチなどもひとつくらい買ってあげなくては。ディナーのあとはオペラ鑑賞なんかいいな。といろいろと低俗なことを考えるのだが、現実にはそんなことは不可能です。
しょうがないので、ときには「すしの久田」「インディアンカレー」「おかしの館あくつのケーキ」「さかき屋本店の黒糖饅頭」等々食事に連れて行ったり買ってきてお渡ししたりしているのだ。
それだけではありません。冬は雪氷道に「危ないから気を付けて下さい、絶対に転んではなりません!」。夏は猛暑でも平気で畑へ行って草取りなどするので「暑いから水をこまめに飲みなさい。ジュースとかお茶などダメです、水です。熱中症には絶対気を付けて下さい!」。車をよく運転するので「気を付けて下さい、ボヤッとしてないだろうな!」と常に細かくアドバイスをし、注意を促し、激励? しているという実にオヤコウコウなムスコなのだ。ま、そんなことは誰でもやっていることだろうけれど。
「子供にものをいうようなことを言ってうるさいんだよオマエは。思ったことを何でも喋るんだから…男はそんなに喋らないもんだよ。もう少しカンロクを持ちなさい、カンロクを」
「うーむ…」
◎プロフィール
帯広市出身。自営業。文筆家。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。
北海道新聞コラム「朝の食卓」執筆者。