LGBT
2017年10月 2日
LGBTという言葉をご存じだろうか? 性的少数者(マイノリティ)の4つのパターンの頭文字をとったもので、それぞれの頭文字はL=レズビアン(女性同性愛者)、G=ゲイ(男性同性愛者)、B=バイセクシャル(両性愛者)、T=トランスジェンダー(身体と心の性が一致しない人)である。
先日札幌市の福祉関連の集まりで、このLGBTの講演を聞く機会があった。講師は『NPO法人レッドリボンさっぽろ』の事務局の方で、HIV陽性者・エイズ患者を支援し差別や偏見のない社会を目指す活動をしている。エイズをとりまく諸問題はセクシャルマイノリティへの偏見や差別にもつながっていると考えられ、少しでも多くの人たちに性的多様性への理解を広めたいと活動している団体だ。
札幌市では『LGBTってなんだろう ―みんながありのままに自分らしく輝くために― という虹色のブロッシャーを制作配布している。性の在りかたはグラデーションで、多様性(ダイバーシティ)、つまり幅広く性質の異なるものが存在していることの周知に取り組んでいる。
日本にはいったいどれだけの性的少数者がいるのだろう。電通ダイバーシティラボというところの調査では人口の五~七%とのこと。一クラスに二人ぐらいの割合になる。多いか少ないか、それは個人の感じかたによる。打ち明けていない人の数も相当数いるだろう。メディア界におけるパイオニア的マツコDさんは、テレビで見ない日はないほどの人気で、あの風貌でも今や異質な存在ではなくなっている。慣れは隔たりを小さくするものだ。
多様性であるので実はLGBTに属さない人もいる。例えば中性の人、性別を決めたくない人、解らない、迷っている人等もいる。当事者の抱える困難も多種多様だ。自分の思っている性別のトイレや風呂に入れないとか、病院でパートナーの病状を教えてもらえないなど、当事者の切実な声には心が痛む。
札幌市は今年六月一日にパートナーシップ宣誓制度を開始した。二カ月で二十六組が利用し、世田谷区につぎ全国二位の利用者数とのこと。賃貸住宅を契約しやすくなったり、死亡保険金の受取人にパートナーを指定できたり、パートナーシップ証明書を取得することで改善できる部分ができた。現在のところ法的有効性はないが、同様の制度が多くの地方自治体に広がるならば、今後法律をも動かすかもしれない。少子化、核家族、独居、シェアハウス。暮らし自体も多様性を帯びてきている。父・母・子供の集合体以外にもハッピーな組み合わせがあるに違いない。
◎プロフィール
さえき あさみ
札幌大通り公園のオータムフェストが終わると、一気に淋しくなる。色づき始めた街路樹に心はセンチメンタル、政治に頭はカッカ!