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エッセイSP(スペシャル)

極寒の日々を過ごす

梅津 邦博

2018年3月12日

 午後も2時を過ぎると気温がさらに下がりはじめてゆく。
 夕食前にショッピングセンターへちょっと買い物に行く。晩酌のつもりでもないけれど、しかし、ま、とりあえずサッポロクラシックビール350ml缶6本入りケースひとつにブルーチーズやピーナッツ、他に明日用に納豆とヨーグルトなど。家に帰ると2階の部屋の石油ストーブ(油タンク容量3.6㍑)は燃料が切れかかっているので給油をする。廊下の温度計は10度くらいだ。
 茶の間で夕食を食べつつ夕刊を開く。大方眼を通し、記事によっては本文を読む。国際問題、科学、文化、評論などと興味深い記事があると食事が進まなくなってしまう。
 「まだ終わらないのかい」
 「ん、いま…」
 母上が急かす。
 食事を終えると、天然冷蔵庫みたいな廊下に出て整理ボックス棚にある缶ビール1本を取ってくる。ビールを飲みながら冷奴を山わさびと醤油で頂く。
 テレビのバラエティ番組はたいがい、低俗お笑い、動物、健康、衝撃映像物などが多い。これ見よがしに強く打って出ているところがあると気分がくさってしまう。その点、NHKは安心して観られるものが多く、特集物だとかなどしっくりする番組作りに魅入ってしまう。特に「NHKスペシャル」や「NHKドキュメンタリー」が好きだ。テーマに沿って映像の切り方あるいは語りなどとてもいい。それなりに満足性があって受信料を払っている価値は充分にあると思っている。
 食事が終わるといったん自室へ行く。気温は9度くらいかでとにかく寒い。もっとも家ん中にいるためか薄着をしているせいもある。タイツを穿いてさらに室内用のスウェットパンツを重ね、長袖丸首の肌着に薄手のTシャツと更にちょっと厚手のTシャツを着ている。さらにもう一枚着るべきかどうか。
 暖房は茶の間と客間などはポット式石油ストーブだが、二階はヒーターストーブ2つと石油ストーブが2つあるだけで部屋を使う時以外は使用していない。就寝時は湯たんぽを使用している。電気毛布は身体に良いとは思えないので使わない。仕事に出ている日中と外出時および就寝時などは電源を切っている。寝る時、各種電源コンセントは外す。外さないのは電話とパソコンと便座くらいである。
 そんなわけで築数十年経っていて寒いけれど、極寒の地北海道帯広で暮らすということはこういうことなのだと納得している。マイナス20度近い極寒の早朝、目覚めるとパジャマ姿のままでポストへ新聞を取りに行く。各部屋のカーテンを開ける。北側の部屋の室温は氷点下4度だった。顔を洗って今日も一日が始まったのだ。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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