大谷翔平の価値
2018年4月23日
「文章は難しい事柄をできるだけ分かりやすく伝えるべきだ」
そう述べていたのは井上ひさし氏だった。私にとっては私淑する作家だ。
今回はやや難しい、人の心に潜む価値について書きたい。
その糸口として、大谷翔平の大リーグでの活躍にふれたい。日本での彼の投手と打者の活躍は驚愕するものがあった。大リーグでも3試合連続ホームランと投手で2連勝し、週間MVPを受賞し、日米の野球ファンが瞠目している。日頃、野球に無関心な女子でさえ「大谷って素敵!」と熱中している。
ひとりの日本人選手がここまで日米を揺り動かすことはなかった。大谷選手はこれまでの日本人大リーガーと大きく違っている。
まず、日本のほとんどの選手は、みな約8~9年日本でプレーしてからアメリカに渡っている。松井秀喜、イチロー、田中将大など。代理人報酬は%で得るので、契約金と年棒を跳ね上げたい思惑が強い。(田中将大は7年契約で約160億円)。
これはFA権の問題に加え、大谷のように25歳未満だと大リーグ側に契約金に上限があるので、争奪戦とはいえ、破格の2億6千万円で大リーグに渡った。「カネではなく、世界最高峰のリーグでプレーしたい」という大谷さまの野球愛を敬うばかりだ。
「夢中になることからはじめよう!」という本をエリザベス・ギルバートという女流作家が書いた。なるほど、と感心した。これぞ大谷さまの夢中の秘けつかと思った。それを引用すると……。
「あなたの中には宝が眠っている。それも想像を絶するようなとてつもない宝です。それが日の目を見るためには、あなた自身が努力し、信念をつらぬき、集中力を高め、勇気をもって長時間、発掘作業に身をささげなければなりません。つまらない考えにあなたの貴重な時間を割かないでください」
そして、創造活動については…。
「どれほど優れた教師につこうと、どれほど評判の高い学校に行こうと、最終的には創造活動は自分ひとりの行為だということ。ワクワクしながら学びつづけること」そう勧めている。
大谷さまとギルバートさんに学び、ひそかに興味をもち、とことん追求すれば夢が形になるかもしれない。
◎プロフィール
春になると人に会いたくなる。
論語の「有鄰」とはその人を慕って、人が集まる、という意味です。