本よ、ありがとう!
2018年11月26日
「どんな本を読んでいるか言ってごらん。そうしたらあなたがわかる」これは作家の開高健氏のことばだ。
また、アップルの創始者のひとりスティブ・ジョブズ氏は著書で「優秀な人材は、その友人も優秀だ」と記していた。
人物の本質と魅力を理解するには、この2つは大事な要素なのかもしれない。私は乱読派だが、今も枕元には2册ほどの本を置いて読んでいる。眠い時はページを開いてすぐに眠ってしまうが、夢中になるときは新書の半分も読みすすむ場合がある。
友だちも本好きが多い。そもそも本好きの友人から影響を受けて、本を読み始めた気がする。
45年前、札幌のデザインの夜学に学んだ時、親しくなったのは島田君だった。彼は当時の五木寛之を読んでいた。話を合わすためにも私は「風に吹かれて」を読みはじめた。島田君はK広告社で仕事をするようになったが、職場に小説家になった佐々木譲氏がいた、と後で聞き驚いた。
当時、夜学に通いながら、昼はN図案で仕事をした。寮に入っていて、そこに時々OBの長谷川さんが遊びに来た。女性にもてる男という周りの噂だった。その彼と親しくなり、飯をごちそうになった。その帰り彼のアパートに寄った。部屋の本棚にはビジネス書などが並んでいた。
――そうか、経済や哲学書も読んでみよう、と思った。彼の紹介で帯広のK広告社を紹介され帰郷できた。
その職場にはチーフの藤倉さんがいた。上司の彼は石川達三の文庫を手にかかえていた。時々読んでいる本の話題になった。勤め先のビルの並びには「信正堂書店」があり、私は昼休みや退社後によく立ち寄っていた。
ある日、ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」という難しい本を私は買った。その哲学書から論理的に考えることを学び、愛読書となった。
趣味は読書、という域をこえている。やがてエッセー教室で学び、プラスワン誌で散文を書きつづけて、それらを本にまとめて刊行できた。昨年までは地域通信員として3年半で380本の新聞記事を書いていた。
わが人生における読書の効用は物心ともに豊かな恵みになったといえるかもしれない。本よ!ありがとう。
◎プロフィール
家の片付けをしているが、趣味のCDやカセットテープ、本、衣類も捨てる覚悟に迫られている。無駄も多いと気づく。