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エッセイSP(スペシャル)

ポツンと生きる

冴木 あさみ

2018年12月 3日

 『ポツンと一軒家』というテレビ番組が高い視聴率を得ていることで注目されている。グーグルアースの航空写真から、一軒だけポツンと存在している建築物を探しだすところから番組は始まる。取材班が現場近くの集落で聞き込みをして、いくつかの情報を頼りに一軒家へと向かうのだ。
 取材中「知ってるよその番組」「見てる、見てる」と笑顔でリアクションする人が結構いる。かくいう私も『ポツンと一軒家』のファンである。何が一番いいかというと、地味で静かな番組だということ。女性タレントやアナウンサーの「え~?」とか「きゃ~!見てくださ~い」といった間延びした甲高い声で騒ぎ立てる場面がない。タレント同士のギャグの掛け合いやおふざけもなし。現場の取材は名も知らぬ男性スタッフで、顔もほとんど出ない。スタジオはMCの所ジョージとパネラー林修らがつぶやくように相槌を打つぐらい。それがこちら側、つまり私の精神的波長を乱さず心地よい。一週間の労働を控えた日曜の夜に、落ち着いた時間を提供してくれる。
 取材先の一軒家に住む人々の生活や人生模様も、毎度特異というわけではない。偶然有名な職人に遭遇することもあるが、それぞれが人里離れた静かな地でひっそりと日々を営んでいる。限界集落の最後の一人になった人もいれば、先祖の家を守る人、生まれ育った家から離れられない人。残った感のある住民もいれば、自らポツン生活を選んだ人もいる。古い家屋を修復しながら自給自足に近い生活を楽しむ人、趣味や仕事に没頭する人と様々だ。彼らの生活の一部を覗かせてもらい、これまでの人生や思いを聴きながら、果たして自分はここに住めるだろうか?と想像するのも楽しい。絶対無理な時もあるし、一定期間体験してみたいと思う時もある。人間関係に煩わしさを感じている時は心を揺さぶられ、一度きりの人生何かに飛び込んでみるのもいいかと本気で考えることもある。ここで活躍するのはドローン。きっとどこにでもありそうな日本の自然の風景かもしれない。しかし、ナレーションと共にドローンによるドラマチックな画というものが、何故か空想の世界にまでと誘ってくれるから面白い。
 「自分はこれからどうしていくのだろう。どうしたいのだろう」と考えてしまうのは私だけだろうか。ところが一晩寝て起きれば月曜からいつもの日常を繰り返し、気付けば今年もそろそろ終了となる。人生百年時代に突入してもなお、煩悩に満ちた人間の一生は儚いものかもしれない。

◎プロフィール

●作者近況
さえき あさみ
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