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エッセイSP(スペシャル)

A型・・

たかやまじゅん

2019年3月18日

 今でこそ大柄な私だが、生まれた時は標準より小さくいわゆる未熟児だったようだ。まだ保育器は普及されておらず、「A型の血液を探した」と二親から聞いている。母方の祖母は「孫の中で、お前にワタシの血が一番濃く流れているんだよ」と輸血したことが口ぐせだった。私がお城や歴史に興味を持ったのは、小田原藩士の末裔にあたる祖母の血筋かも知れない。
 物心ついてからも頻繁に風邪をひき、小児科医の往診を受けていた記憶が遺る。小学校に上がると身長が伸び体重も増えて、教室の席替えでは最後尾になった。
 大通駅と札幌駅を結ぶ地下通路で、〝献血をお願いします〟と書かれたプラカードを掲げ、毎日呼び掛けをしていた。日によって〝〇型と〇型が不足〟と表示が違う。数日後、そこを通り掛かると〝A型が緊急で必要〟の文字が目に留まる。
 かつて、何回か献血したことから義侠心が湧き、勇んで献血ルームに足を運ぶと待合室には私より若い人が多く、場違いのような感じがしてくるのを覚えた。問診票を記入し受付に渡すと、「64歳までに献血しましたか」と確認される。だいぶ前だが献血したカードがあることを告げると、「69歳では献血出来ない」と断られてしまう。
 A型を探している筈ではと言ったのだが、「65~69歳までの採血には、60~64歳の間に献血の経験があるかどうか」が法律で定めた基準となり、その理由は「年齢を重ねると献血後、身体の中で造血のスピードが遅くなって、体内への負担が大きい」「年齢的に持病の薬を服用するケースが高く、献血時にトラブルを起こし易い」など限られているそうな。
 もっともな話であるもののガッカリしたことは言うまでもなく、つくづく年齢を痛感せざるを得なかった。これ以来、地下通路でプラカードにA型の文字を見るにつけ、『ゴメン・・』と心の中で詫びながら通り過ぎて往く。
 ある日、係員に「おはようございます」と挨拶されたことから言葉を交わすようになり、件の経緯を話してみると「献血したいと言う元気な70代からの声を聞く」「2011年に年齢の引上げをされたが、高齢化社会になって、今後さらに検討されるに違いない」などの詳しい説明をしてくれた。
 きっとこの制約が改正されたとき、私は真っ先に献血をする自信がある。まだ血の気は、多いはずだから・・!?

◎プロフィール

〈このごろ〉両眼のメンテナンスをして1年。澄み渡る空の碧さに夕映えの眩しさ、朧月や北斗の瞬きが、まるで4K映像を見ているようだ。

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