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エッセイSP(スペシャル)

なつ、終わる・・

たかやまじゅん

2019年9月16日

 17世紀イタリアの画家、カラヴァッジョ展を観た。まるで舞台の一場面を切り取った感じの写実的な絵は、カラヴァッジョの劇的な36年の短い生涯が、投影されたように思えてならない。この展示は、札幌が終わると名古屋から大阪へと回るそうな。
 夭折した画家と言えば、神田日勝が思い浮かぶ。その32年の画業は、人気を博した〝天陽くん〟のモデルだ。演じた若手俳優の憂いを帯びた眼差しが、若き日のアラン・ドロンを彷彿とさせる。
 帯広は、かつて仕事でこの地に住み、十勝管内を巡ったことや、今も続く地元の人たちとの繋がりを持つ私にとって、想い入れ深い土地のひとつ。毎朝のテレビドラマ『なつぞら』には、十勝の青空と大地が頻繁に出てきて、あの山脈はあそこ、この草原はあの辺りではと、想像しながら耳にする十勝の言葉に、思わず懐かしさで頷いてしまう。
 中でも、柴田牧場の泰樹ジイちゃんは、ガンコだが胸の内に熱いものが流れる十勝人そのもの。主人公なつと触れ合う場面は、日に何度も観てしまいそのたびに、涙腺が緩みっぱなしだった。後半は東京が舞台だが、十勝の場面に戻ると安心感が湧く。しかし、間もなく〝なつ〟は、最終回を迎える。
 今年は、「晴れても暑い、曇っても暑い、雨降りも暑い」と口ぐせになるほど連日の蒸し暑さに、エアコンのない我が家は、外から戻ると先ずシャワー、夕方もう一度、寝る前にまた浴びる。部屋の温度は夜になっても上がったまま。扇風機では間に合わず軽い熱中症のような症状も・・。
 友人のメールで、「エアコンを設置したら、孫たちが泊まりにくる」を見て、来年は考えなければと思っているうちに、朝晩涼しさを覚えるようになった。
 一方、九州の大雨で佐賀にいる同期に安否を尋ねると、「いま避難所で家の様子はわからない」とのこと。後日、家は無事だったと知らせが届くが、台風と大雨が続き「まただよ、ほんと嫌になる」の文字に返す言葉が見つからない。
 名古屋の人から、「今日も30度を越える残暑、そちらはもう涼しい頃では・・」とのLINEが届いた。だが、お盆過ぎは〝秋風が立つ〟と識られた北海道も、寝苦しい真夏日のぶり返しだった。
 それでも空は秋の色あいを見せ、〈暑さ寒さも彼岸まで〉のことわざのように、朝夕の風を冷く感じてきた。こうして、北国の〝夏〟は、終わる。

◎プロフィール

〈このごろ〉美術展などの図録は分厚くて重い。たいがい写真が前半で解説が後半になる。図版のところに解説があれば、読み易いのだが・・

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