還暦よこんにちは
2020年1月 6日
謹賀新年。
昨年は御代交代でお祝いムードに包まれた年であった。どんな事件、事故、災害があっても、合間におめでたいニュースが入ると沈んだ心も多少リセットされるものだ。令和二年という一年がどうか安寧でありますように。
個人的に今年、私にとって大きな節目を迎える。春には還暦を迎えるのだ。別に待ちわびていたわけでもない。逆らうことのできない地球の時間の流れに身を任せただけのこと。
六十歳。お祝い。赤いちゃんちゃんこ。ここで一度思考が滞る。はて、還暦の詳細を語れるほど解っていないことに気付く。十二支は十二年ごとに一回りするのに、なぜ六十。十二支が五回巡ってジャスト六十? キリがいいから? 他人事と思っている時の興味と知識は非常に乏しい。とにかく無知のまま還暦を寿ぐわけにはいかない。
調べてみると古代から大陸の影響を受けてきた日本だが、還暦も奈良時代に中国から伝わったものという。日本でお馴染みの十二支の他に、甲・乙・丙・丁・戌・己・庚・辛・壬・癸という十干(じっかん)を組み合わせて暦日を数えていたとのこと。甲乙丙丁は暦=時間を表すものだったとは。焼酎の分類とか契約書で見かけるが、あまり深く考えたことはない。
初めてその文字に出会ったのは、昔母の女学校時代の成績表を見せられた時だった。甲の文字がずらりと並ぶセピア色の成績表。そのため甲乙...は優劣を示すという固定観念が出来上がった。優秀な成績にも拘らず、学費の都合がつかず進学できなかった。母の自慢の成績表には悔しさもにじみ出ていることを幼心に感じていた。
調べている中で面白かったのは、高校野球の球場としても誰もが知る甲子園。元々枝川運動場と呼ばれていたのだが、球場が完成した一九二四年という年は干支の最初の年「甲子(きのえね)」という非常に縁起のいい年だったので、一帯が甲子園と命名されたとのこと。
横道にそれたが、干支の話。十二支と十干の組み合わせは六十通りになり、誕生から六十年で一巡する。生まれた時と同じ暦に還るという意味で還暦とのこと。昔からめでたい場面では赤が用いられているが、赤い色には邪悪なものから身を守る力があると言われており、生まれたばかりの赤ちゃんに着せる習慣があったらしい。
この程度の知識で十分だろうか。いにしえの風習が今も受け継がれていることは素晴らしい。心置きなく私も還暦イヤーを胸張って歩こう。くたびれてきたこの身体でも、心機一転、光を浴びて新たな一歩を踏み出せる気がする。区切りというものに感謝したい。
今年も皆さまにご多幸あれ。
◎プロフィール
寒い日の夜は熱燗ですね。湯豆腐、おでん、ブリ大根。日本人でよかった。