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エッセイSP(スペシャル)

段取り・・

たかやまじゅん

2020年1月20日

 縁起の佳い初夢は、江戸の昔から「一富士、二鷹、三茄子」であり、これは徳川家康の好んだ〈富士山、鷹狩り、初茄子〉といわれ、駿河名物の「富士山(無事)、愛鷹山(運を掴む)、冬茄子(事を成す)」に由来するそうな。
 仕事を離れてから10年余り経ち、久々に勤めていた頃の写真を眺めてみた。社員旅行や送別会、忘年会に新年会が多い。そこに写っているのは、マイクを握った姿ばかり・・。若い頃から宴会の幹事に指名され、やがて司会進行を任された。転勤するときには新年会と送別会が重なり、新年会の司会が終って思わず、「次は〝マッちゃん〟の送別会です」と口にしたので会場は大爆笑、ここからの進行役は他の人になった。
 仕事は〝段取り八分で決まる〟と教えられた。この段取りとは、歌舞伎で筋や構成を作るのを指し、先ずは準備が大切なことを示している。これさえ確り出来ていれば、アクティブな考えが生まれ「次はこうしてみよう」「変えてみたらどうか」などのアイデアも湧く。会社で培ってきたことが、綴ったり喋っている今の私の中で、活かされているのだった。
 Kokiを境にして次のステップを目標に置いた。それは永年に亘り蓄積してきた映画の資料やレコード、読んだ本などをfacebookでアップすること。そしてコメントの表し方や写真の配置を考えるのが面白くなってきた。袖すり合った人たちからの「いいね!」も励みの一つであり、自分の集大成になればと更新を続けている。
 今年からラジオでは、戦国や源平などをテーマにして、歴史上の人物や出来事を唄った楽曲で繋げる「歴史歌謡講座」がスタートした。準備に2年以上を費やし、半年先まで選曲してみた。たぶん1年がかりでの取り組みになりそうだ。
 かつての上司が、いまの私を知り「リタイヤしても、水を得た魚のように生き生きしている」とメールに書かれていた。市川猿翁さんが猿之助時代に手掛けたスーパー歌舞伎「新・三国志Ⅱー孔明篇」で、諸葛孔明の台詞に〝信ずれば夢は叶う〟とあった。夢を叶えるには、いかに段取りをするかであろう。
 人が縁起を担ぐ初夢には続きがあって「四扇(末広がり)、五煙草(煙は上昇)、六座頭(怪我無い)」となり、さらに十まで数えたそうだが・・定かではない。
 因みに今年の初夢は見ずに終わる。

◎プロフィール

〈このごろ〉近頃、涙腺が脆くなった。本を読んでいるうちに感動して、思わずグッと来ることがある。これが乗り物の中だと困ってしまう。

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