キウイ・・
2020年12月21日
これまで、毎朝快調に済ませていたのが、1年ほど前のある日、お腹が張ってきた。それが1日過ぎ2日過ぎても一向に気配はなく、モンモンとした〝ふんづまり〟の状態に陥った。
人から聞いた話に、こんなときの座る姿勢は、ロダンの〝考える人〟がよいとあり、何度かチャレンジしてみるが、効果は見られなかった。やむを得ず胃腸薬や便秘薬を試しても一向に改善されず、4日目には脂汗さえ滲んでくる。
その日は折悪しく日曜日、家族が休日診療の病院を探し、車で運ばれて駆け込んだ。手早くイチジク印の3倍近い処置をされ、ようやく事なきを得たのだった。医師から「男性も年齢的に腸内の動きが鈍くなり、便秘を起こし易くなるので、食事や薬の服用にも気を付けて下さい」と注意を受けた。
近頃、テレビCMで見掛けるのが通販サプリメント。年齢を重ねると体内機能も弱まるので、補助食品が必要だと紹介し、足の先から頭まで網羅されている。腸内サプリメントは種類も多く、乳酸菌にカルシウム、ゴボウやイモなど数え切れないほど。そんなとき家人が、「キウイフルーツが腸内をキレイにする効果があるとテレビの番組でやっていた」と言う。
さて、このフルーツを知ったのは30年以上前、キウイとパパイヤにマンゴーを唄ったCMソングである。だが、この曲は勤めていた会社のライバルメーカーが使ったもので、愛社精神の旺盛な私は関心を持つことすらなかった。当時、果物と言えば季節ごとの蜜柑や柿などで、宴会などのデザートに出されても、独特の甘酸っぱい味は馴染めずにいた。
そんな私だったが、話のタネにひとつ食べてみると意外に美味しさを感じてきた。やがて、毎日の食卓に上るうちすっかり味にも慣れ、何よりも朝食後しばらくしてスルッとした爽快感を覚え始めた。今では、ニュージランドの国鳥キーウィの可愛い姿に似たこの小さなフルーツが、一日のスタートに無くてはならないものとなる。
食べ物を口に入れ外へ出すため、消化を果たす重要な役割が腸であり、人が生きていく上で、これをいかに維持することではなかろうか。
今の私にとって、「衣食足りて礼節を知る」は「衣食足りて排泄を知る」と言っても過言ではない。
◎プロフィール
〈このごろ〉今年は、京都の神社仏閣や美術館を訪れるのを控え、ネット配信を利用するようになる。これも新たな楽しみ方のひとつなのか…。