巣ごもり生活
2021年5月31日
5月の連休後、コロナ感染が増えてきて、北海道も国による緊急事態措置の対象になった。5月16日から31日まで原則公共施設を閉鎖している。
町の図書館も休館しているので、返却ポストに数冊の本を入れると、いつも世話になっている司書のNさんが通りがかった。私は彼女に声をかけた。
「閉館しているけど、やはり職員は出てきているんだね」「そう、私たちは休みではないので」とNさんはマスク顔で笑った。
新規の自営業は停止し、副業の取材もめっきり減り、私は在宅の巣ごもり生活が続いていた。オフの時間は図書館で本を借りて読むのが楽しみだった。また、自室の書棚に積んである本を手にとる機会も増えた。草森紳一の考察力や菜根譚(さいこんたん)の処世術が迷いがちな私の心を支えてくれる。特に菜根譚の金言は胸に響く。
「なんの変哲もないことに喜びを見いだす」「お金から一歩離れると人生の楽しみ方がわかる」「お世話や親切はしっぱなしでいい」など、それらは生き方の道しるべとなる逆説だ。
この1年間、コロナ禍が人々の自由な活動を抑制した。コロナ感染防止のために新しい生活スタイルが身についた。外出にはマスクを着用、買い物などでは店頭で手を消毒する。帰宅後は手洗いを徹底する。外食も人と会う機会も減った。イベントなど人が密に集う場も人数を抑制して実施するか中止になった。会わずに会議をするオンライン方法が奨励されている。
私の日常ではラインでの連絡や会話を活用している。「今、話しができますか?」と断ってから短く用件を伝える。相手に話したい気持ちがあれば、何気ない口調を察して他愛ない話題で笑い合う。一見「無駄に思えること」の中に元気の素がある気がする。
本を読むことを無駄と考える人がいる。そんな人は映画を観ることも道楽や娯楽程度と捉えがちだ。本や映画から私は歴史や人間について学んできた気がする。
◎プロフィール
商業デザイン、コピーライター、派遣業務などを遍歴。趣味は読書と映画鑑賞、時々初心者料理も。