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エッセイSP(スペシャル)

取材のあとで

吉田 政勝

2022年2月28日

 取材で子供たちと会うのが楽しみだ。コロナ感染防止で顔はマスクで隠れるが、目と髪型で人物を特定する。
 顔と名前を一致させるには記憶力も低下してきたが、出会った人の名前を漢字でおぼえるように心がけている。
「書初め大会」の取材へ向った。公民館の広い講堂で小・中学生など約60人が画仙紙に筆を運んでいた。
「よい写真を撮りたい」そう思いながらカメラを構えて絵になる場面をさがして会場を歩いていると、顔をあげた少女と目が合った。
 「あっ」と彼女は声をあげた。どこかで会っている顔だ。「チエちゃん?」と確認した。お互いに笑顔の目になった。すぐに名前を呼べてよかった。
 某小学校4年の彼女とは先月も取材先の学校の体育館で会っていた。「落語表現を学ぶ」という落語家のワークショップだった。舞台に登場した彼女の写真を撮り、コメントをもらい名前も聞いて記事に仕上げた。
 チエちゃんの側に女性がいるので「お母さんですか」と私は訊ねた。「暮れに記事が載りました。あの記者さんですよね」と私の腕章を見て言った。「はい、その写真を小学校のN校長宛に手紙で送っておきますね」と伝えた。
 ある日、食品スーパーで買い物中に、すれちがうマスク少年が立ち止まって私の方を見ながら、近寄ってきた。彼の目を見て、朝の体操皆勤賞での表彰式の取材を思い出して、
「T君ですか」と私は声をかけた。
うなずいた彼は「新聞記事はいつ載りましたか?」と言った。彼の家ではその新聞を購読していないと知った。「では記事の新聞を届けるね」と伝えた。
 翌日、私は新聞販売店からその記事が載った新聞を購入し、短い手紙をそえて、彼の家のポストに投函した。
 後日、T君の通う小学校へ取材に行くと保護者参加の行事で、T君の母親に体育館で声をかけられた。「うちの子が新聞と手紙をいただいて喜んでおりました」と礼を言われた。さりげない思いつきだったが、私もうれしかった。

◎プロフィール

商業デザイン、コピーライター、派遣業務などを遍歴。趣味は読書と映画鑑賞。

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