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エッセイSP(スペシャル)

デパート・・

たかやまじゅん

2023年3月20日

 帯広で永らく親しまれてきた百貨店の藤丸が閉館したニュースは記憶に新しい。同じころ東京の渋谷でも東急本店が幕を閉じた。帯広に住んでいた頃、休日に家族で買い物や食事を楽しみ、渋谷はかつて仕事で担当したので思い出も深く一抹の寂しさを覚える。
 私が初めて百貨店に行ったのは小学生の頃で、親戚に連れられた日本橋三越本店。そこには豊富な品揃えと接客のプロがいて、包装紙に包まれた品物は高級感を漂わせ、屋上に遊園地もあり、見上げるばかりの堂々とした建物は街のシンボルとなっていた。まして地下鉄も初めて乗り、ホームから店に直結するなど子供心にも驚きの連続であり、後に自分が仕事で百貨店と関わりを持つことなど思いもよらなかった。
 この百貨店とは、文字通り数多くの商品を扱い新製品や季節ごとの催事は流行の走りを築き、小売りの王様と言われた。英語だとデパートメントストアで、因みに〝デパート〟の呼称は和製英語だそうな。昨年末に上京した際の銀座は、クリスマスシーズンで活気づくデパートの前には人待ち顔が溢れ、日本橋ではショーウィンドーの彩りが夜のとばりに華やぎを醸し出していた。それらを目にした私の胸には、50数年前の入社した頃のことが去来するのだった。
 最初の配属先が、東京都内のデパートと取引をする事業所で、社会人としての一歩は商品を配達することから始まった。たいがいデパートは、江戸時代に太物店と呼ばれた老舗の屋号を持つ呉服店系百貨店、そして電鉄を母体のターミナル系デパートに大別される。
 駅ビルだと納品所から店側が運んでくれるのだが、本館納品の場合は自分で運ぶ。この時は荷物が崩れないよう台車に積み、バックヤードを抜ける。通路には所狭しとワゴン台やショーケースが置かれ、表舞台とは違う一面を垣間見た。
 やがて営業部に転属し、新宿駅東口と西口のデパートを受け持った。この西口にあった旗艦デパートは、昨年秋に建て替えで閉館している。その次に担当の渋谷では、駅ビルのデパートも大規模開発から3年前に閉め、今また道玄坂の本店となった。
 この半世紀余り、経済や消費のすう勢で、百貨店業界も合併や経営統合で様替わりし、閉店も少なくない。若いころ仕事で携わったデパートは、これからも大きな変貌を余儀なくされている。

◎プロフィール

〈このごろ〉雪の朝、リップクリームと喉スプレー、ハンドクリームにホッカイロ。首にタオルと手袋を装備した雪狭間の戦いも終わりを告げた。

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