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エッセイSP(スペシャル)

働き手はどこに?

冴木 あさみ

2023年9月 4日

 長距離の都市間バスは、列車移動とはまた違った快適さがある。体にフィットする座席に体をうずめて、ぼんやりと車窓の景色を眺めていると時間を忘れる。 便利で快適な高速バスだが札幌―函館間を走る〝高速はこだて号〟が、この十月から運転手の確保ができないという理由で、一日八往復から四往復へと大幅な減便になるという。四社の共同運行でありながら人手不足に陥っているのだ。通勤のため毎日バスターミナルの前を通る私は、都市間バスをよく見送っている。JRの廃線問題同様、乗らぬ者が文句を言える立場ではないが、減る、無くなるというのは実に寂しい。
 札幌地下鉄大通駅のコンコースに、全国的に有名なドーナツ店がある。ある時珍しくシャッターが閉じていた。客足が途絶えない人気店がまさか閉店? 吸い寄せられるようにシャッターの張り紙に近づいた。スタッフの都合がつかないので一時販売を停止する旨が書かれていた。
 先日は冷えたビールを求めて辿り着いた居酒屋の戸がひっそりと閉じていた。これまた人員確保ができないため開店が一時間遅れるとのこと。諦めて家で麦茶をがぶ飲みして心を静めた。閉店ではなくて安心したが、人材不足という問題は日常生活に感じている。
 私の福祉事業所でも数年前から調理の担当者を募集していた。条件を変えても履歴書一つ届かない。結局知り合いのつてで六十歳の女性に来てもらっている。今年美容院を退職した人だが、「自分にできることなら何でもいいので仕事をしたい」とのことで、週二回ほど来てもらっている。元気にテキパキと美味しい昼食を提供してくれる。
 キャリア形成のためなどの理由で求人に年齢制限を設けている会社もあるが、壁にぶち当たると直ぐに辞める若い人ならば、むしろ元気なシニアのほうが、肝が据わって頼もしい。人生経験があるので、細かい指示がなくとも事が進むし、融通も利く。六十歳なんて、まだこの先十年働ける。
 人間に代わってロボットを使う職業も増えてきたが、ロボットにはどれだけ柔軟性を備えることができるだろう。知人が最近焼肉を食べに行った店は、配膳ロボットが働いていたという。不愛想な人間よりもいいと笑っていた。そうかな。飲食物を運ぶだけが給仕ではないのだが。特におばさん世代になると、一言二言店の人と言葉を交わしたいのだ。尤もロボットが関西弁あたりで軽快に受け答えをしてくれるなら話は別だが。
 運輸・建設関連の分野では二○二四年問題が取りざたされている。どういう社会になっていくのか、今から不安だ。

◎プロフィール

「暑さに耐えよく生き延びました」朝礼で話した翌日また気温が三十度を超えた。

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