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エッセイSP(スペシャル)

突然の酷暑

梅津邦博

2023年9月11日

 コロナは続いているが、制約がそれなりに解除になって人通りが多くなり、夜の飲食店街も復活して賑やかになってきた。帯広の街も本来の在りようになってきただろうか、と言いたいが...。
 7月下旬になって突然に酷暑がはじまったのである。そしてかつてないほどの暑い夏が続いていった。本州どころか北海道もあまりの暑さゆえに世の人々の生き方が問われてならない思いがした。不穏な空気が蔓延していると思えないか。世界の世相を鑑みれば、すでに危険な時代に入っていると思われてならない気がしている。烈しい異常気象ばかりではなく、東西において国力意識強大なる国々が覇権を競っていて異常極まりなく危険水域に入りかけている。いやすでに入っているのではないか。そう思うと軀の奥で薄く震える心地がしてならない。笑うかも知れないが、争い事は思考を停止して収まらないと解決しないのではないか。実際にはもう引き返せないところに来てしまっているのだった。
 この稿を執筆している今、曇り空が一面に覆っていて無風だ。駅南側のいくつかの樹木は微動だにしていないように見えるのだが、暫し視ていると天辺の所の葉がちょっと揺れているのが見てとれる。そのさまに不穏さが伝わってきてならない。人々はまさか、世界は安全だなどと思っているのか。このまま行くはずがないのだ。未曾有の大天変地異が始まっているということを知らない人々があまりにも多くないか...。.天変地異とは気象のことだけではないのだ。国々の争い、政治の腐敗、経済界のインモラル、文化の不浄、...もうそこまで来ていることに間違いがない。世紀末とはそういう事だったのだ。街に出ると、多くの人々が楽しそうに笑っている。この街が、この人々が、この自然が、いつまでもつづくなどというようなことがあると思っているのかも知れない。しかしもうそんなことを言っていられない時代に突入してしまっているではないか。世界を見渡しても国々の争いが絶えないところがある。そしてそれ以上に覇権を争っている。すでに誰も止められなくなってしまっている。どう考えても、異常な間違いであるという事に気が付いてゆくしかなく、引き下がる他ないのだ。
 明日も陽は昇るが、地上は破滅へと走りつづけてゆくほかないのではないか。全世界で数え切れないほど多くの人が苦しみや悩みに煽られ、泣きつづけているとしか思えない。見えるはずの光が、青い空が、見えなくなってしまうのではと思うと、ことばが出てこない。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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