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エッセイSP(スペシャル)

生きるための食欲

吉田 政勝

2023年10月23日

 仕事帰りのAさんと待ち合わせて「早坂剛一写真展」を観に行った。十勝の四季の風景写真約80点を観賞して、展示会場を出た。残暑つづきの9月初旬の夕刻だった。
 「この後の予定は。食事でもどう?」と私はAさんに声をかけた。「予定は別にないです。外食いいですね」と彼は応えた。私の頭には何度か通った回転寿司の光景が浮かんだ。店の名を告げて、各自の車で向かった。私はひとりの黙食も好きだが、気が置けない相手と芸術談議を交わして会食するのも楽しい。人と外食するのは久しぶりになる。
 というのは私は5月初旬に「悪性リンパ腫」で約1ヶ月入院して、抗がん剤投与を受けた。 退院してからも月2回の抗がん剤の点滴に通院していた。
 その治療後の副作用として、髪が抜け指先がしびれるなどの症状が出た。何よりも食欲低下が堪えた。食いしん坊の私は味覚障害となり、口内炎がつづき食欲が減退した。15キロも痩せた私は栄養をつけたいと意識するが、少食がつづいていた。だが、9月初旬は食欲がわずかに出てきた。
 駐車場に車を停めるとAさんの車も着いた。店内のカウンター席に案内されると、鮭のあら汁と握り3皿を私は頼んだ。健康なAさんは皿を次々と重ねた。 何げなく視線を向けると、彼はイクラを口に運んだ。私もイクラを注文し、目をつむり味わった。
 「少し塩分を感じるけれど、血圧に影響しないの?」と私はAさんに訊いた。彼は「嫁がいたら 『塩分をひかえて!』と小言をくらうがね」と苦笑した。
 健康戒律の決まりから自由になり、彼はたまには以前の好物を食べたいのだろうと思った。
 最近「婦人公論」 誌を開いた。88歳の中村メイコさんが「私はおいしいと感じる心を大切にしているので、塩分も気にしません」と述べていた。医師の南杏子さんは「食べることを楽しむ姿勢が何より大切ですね」と応えた。その対談を読み「わが意を得たり!」と頷いた。猛暑に汗をかいたら、やはり塩分が欲しくなる。秋には牡蠣フライを何度も食べた。抗がん剤治療で体から亜鉛が排出されるらしい。牡蠣は亜鉛が豊富と知り納得した。必要な栄養素を摂るためにも、自分の体が欲する声も聞きたい。

◎プロフィール

心況(よしだまさかつ)
地産地消の身近な食材で、手早い調理を心がける。20分で出来る「かんたんカレーライス」が得意です。

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